婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!

 この世界には特別な存在として聖女と魔女がいる。

 義妹のように聖属性の魔法が使えて守護や治癒魔法が得意な者が聖女で、闇属性の魔法を使い攻撃魔法や呪いを操るのが魔女だ。

 聖女や魔女は国を守り王族と同等の存在だけど、その扱いには雲泥の差があった。

 人々は聖女には敬愛の念を、魔女には畏怖の念を抱いていた。それは魔女が呪いを操れるからだ。
 呪いとは人間のさまざまな負の感情が道具や武器、防具、アクセサリーなどに宿った状態をいう。その強烈なまでの負の感情は使用者に多大な影響を与えるのだ。

 例えば、攻撃力が上がる代わりに防御できないとか、不運な出来事に見舞われ続けるとか、視力を奪うものや魔力を封じるものさえある。魔女はこういった呪いを意のままに付与したり解いたりできる。

 その中でも特に力の強い魔女が四大魔女と呼ばれていた。アマリリスの他にアナベル、ダリア、カレンデュラの魔女がいる。

 呪いを解くだけなら聖女と同じように人々から愛されたのだろう。でも、ある古の魔女が呪いを使って大きな事件を起こしてからは、この帝国では特に恐れられ忌避される存在になった。

 それでも私を助けてくれたのは他でもないアマリリスの魔女だ。
 どんなに恐ろしくても、今、信じられるのは彼女だけだ。


 私は自分の意思で魔女についていくと決めた。



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