婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!
「レイ、それよりも伝えたいことがあるの! シャロンたちが反乱を企んでいるわ。ミリアムの娘のフィオナも狙われているの」
「ああ、わかっている。フィオナに関してはミリアムと一緒にいるし、薬草園の結界の中にいるから心配ない。今頃はこの状況について知らせを受けているはずだ」
レイの言葉に安堵した。確かにあれほどの強固な結界の中なら、どんな外敵からも身を守れるだろう。フィオナは攻撃魔法が得意ではないから、訓練を積んだ刺客に襲われたら、ひとたまりもない。
「レイは? 反乱を起こされたら、レイが——」
「心配ない。これでも帝国最強の騎士だからな」
そう言って私を広い背中に隠して、シャロンとエルベルトに向き直った。
「さて、粛清をはじめるか」
「ちょっと、エル様! なぜ皇帝がここまでくるのよ!?」
「私だって知らん! 仕方ない、このままここで皇帝を葬るぞ。そうすれば、どのみち私が皇帝になる!」
「その選択を後悔するなよ?」
エルベルトは苦虫を噛み潰したように顔をしかめた。
「うるさいっ! 私は間違ってなどいないのだ!! 皇帝を、レイヴァンを殺せ!!」