婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!
第七章 愛で触れて

 第一騎士団がフューゲルス公爵家に到着して、屋敷の中の捜索が行われた。
 皇族警護の隊だから、反乱の証拠については特に念入りに調べていたようだった。

 レイに聞きたいことはたくさんあったけど、事後処理の指揮でそれどころではないようだった。そこでフィオナの様子を見るために転移の魔道具を借りて、ひとまず皇城に行くことにした。

 皇城に着いて目指したのは、薬草園だ。小動物から薬草を守るための結界が、こんな風に役に立つなんて思わなかった。

「フィオナ! ミリアム!」
「セシル師匠―!!」
「よかった、やっぱり無事だったわね」

 ふたりに優しくハグされて、ホッと胸を撫で下ろす。無事でよかった。万が一にもフィオナになにかあったら、一生後悔するところだった。

「うん、レイが助けにきてくれて、なんとか無事だったわ」
「あんなに必死な陛下を見たのは初めてよ。ねえ、ここに戻ってこないの?」

 ミリアムの言葉に心が揺れる。

 でも確かに私は、皇后の立場から解放すると言われたのだ。つまりもう私は必要ないと言うことだ。だからここには戻ってこられない。

 でも。ひとつの決意を固めていた。


< 178 / 215 >

この作品をシェア

pagetop