婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!
私が魔女のもとに来てから三ヶ月が経った。
約束通り衣食住は十分すぎるほど与えられ、リリス師匠には実の妹のようにかわいがられ快適な毎日を過ごしていた。今は呪いの付与や解呪のやり方も教わり日々修行に明け暮れている。
そして私は魔女の真実をひとつ知った。
確かに魔女は呪いを操れる。解呪をする時は負の怨念ともいえる呪いを自らの体に取り込むのだ。しかし、それを定期的に吐き出さないと呪に蝕まれて命を落としてしまう。
だからさまざまな物に呪いをかけて魔道具を作り出し、厳重に管理していた。
それでも人々の負の感情がなくなることはなく、解呪の依頼は後を絶たない。
そんな状況を変えるために、私は新しい解呪の方法をアマリリスの魔女に教わっていた。
新しい解呪の方法は呪いを闇魔法に変換して取り込むもので、これならいくら解呪しても呪いに蝕まれることがなかった。
その新しい解呪の方法を広めるのがリリス師匠の目的であり、私の存在意義だった。
それから二年間はリリス師匠の指導のもとびっちりと修行した。朝から晩まで解呪しまくり、時には出張して腕を磨き続けた。そうして魔女たちが溜め込んでいた呪いの魔道具はあらかた解呪した頃だった。