婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!
【呪眼】
見た目は多分作った時と変わらない。ツーっと指で仮面をなぞる。
装飾の金属の冷たくて硬い感触が返ってきた。呪眼を使って視ると呪いの黒い霧も相変わらずだ。
でも、どうやったのか呪いが強化されていて、ちょっとやそっとじゃ解呪できそうにない。
「……非常に残念なお知らせだけど、すぐに解呪するのは難しいわね」
「そうか、仕方ないな。どの魔女に見せても無理だと匙を投げられたんだ」
「うーん……ここまで拗れてたらそうなるわね」
そういいつつも呪いに触れて、解呪の方法を読み取っていく。私が設定した『真実の愛を受け取らなければ解呪できない』というのは有効だ。
ただ、それ以外の方法となると糸が何重にも絡まって、さらに玉結びになってどこから解(ほど)けばいいのかわからない状態だ。
ふと視線を感じて悪魔皇帝の瞳を見れば、驚いたようにじっと見つめられていた。
「魔女には呪いが効かないのか?」
視線が合うと悪魔皇帝は不思議そうに尋ねてきた。