婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!

「わかったわよ、レイ。で? なんで呪いの仮面をつけてるの?」
「ああ、これな。ある目的があったんだ」
「目的……?」
「俺はどうしても手に入れたいものがあって、この呪いの仮面をつけたんだ。そうしたら都合のいいことに、羽虫の如く寄ってくる邪心まみれの女どもまで撃退できた」
「呪いの仮面をめちゃくちゃ有効活用してるじゃない」
「そうか? まあ、反対勢力の令嬢を妻にすることができなくて助かった部分はあるな」

 ねえ、それってむしろ狙って呪いの仮面を付けたんじゃないの!? だとしたら私に責任ないよね!?

「いつかは取れると思っていたんだが、思いの外俺に寄ってくる女は邪心まみれのようで、いまだにこのままだ」
「ああ、ちょっとの邪心も許さないようにしたから」
「だから責任とって俺の子を産め。初めてなら優しくするぞ?」
「一年はそういうことをしませんっ! いい? 私たちの正しい初夜の過ごし方はこうよっ!!」

 私はふかふかの枕たちをベッドの真ん中に並べて境界線を作った。それはもうこんもりと、いい感じの壁に仕上がっている。

「今日の解呪はおしまいです! ここからこっちには絶対に寝返りを打たないで! わかった!?」
「お前……くくくっ、心配するな。いくら女が寄ってこなくても、その気のない女を抱いたりしない。からかっただけだ」
「はあ!?」
「楽しませてもらった。では俺はもう休むとしよう」

 そう言ってさっさと横になって背を向けた。

 は、腹たつわ〜〜!! 絶対に即行で解呪してやるんだからっ!!
 そうして怒涛の一日が終わったのだった。


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