婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!
ここまで調べるのに半年もかかったが、それだけわかれば十分だ。
自分達の欲のために民に圧政を強いて、使えるものは駒のように使い、用が済めば簡単に切り捨てる。
俺は家族を失って初めて気が付いた。大切なものを守るためには、あらゆる力が必要だと。
だから俺は立ち上がった。
俺を慕ってくれる部下を、必死に生き抜く民を、そしてずっと想い続けている彼女を守るために。
たとえ悪魔と呼ばれようが、俺は皇族の殲滅を決意した。
それからさらに一年かけて準備を整え、目的を果たした俺は皇帝に即位した。すぐに彼女を妻に迎えるため諜報機関をフル活用して、解呪の魔女を捜し出したのだった。
『陛下、ようやく解呪の魔女の調査が終わりました。こちらが報告書です』
『本当か!? セシル……セシル・マックイーンが彼女の名か。ああ、マックイーン侯爵家の者だな。ならば妻にするのは問題ないだろう』
『はい。現在は除籍されておりますが、この件はすぐに対応いたします』
『イリアス、頼む。俺はこのままセシル嬢を迎えにいく』
もともと侯爵家の令嬢だったのが、今は解呪の魔女として隣国にいると報告には書かれていた。事の成り行きも詳細が載っていて、どうやってクズどもを処分するか策を練る。
そうして、さっそく迎えにいこうとした時だ。
『待ちなさい。あの子をどうするつもりなの?』
突然、背後の影の中から別の魔女が現れた。