婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!
「シャロン……? そんな、シャロンは腹違いとはいえ、私の妹ですわ……!」
「ああ、そんなことはわかっている。同じ姉妹だというのに何故こうも違うのだ? シャロンは光魔法の使い手で清廉な心を持つ聖女、お前は闇魔法の使い手で心の中まで醜悪ではないか!」
確かにエルベルト様の言う通り私は闇魔法を使う。でもだからといって心が醜悪だと言われるほど、誰かを妬んだり恨んだり蔑んだりしたことはない。ただエルベルト様への想いを深めて、相応しくなれるように誇り高くあろうとしていた。
どう話せばわかってもらえるのかと悩んでいると、静まり返った会場内に聞き慣れた甲高い声が響きわたる。
「エル様!」
キラキラと輝くピンクブロンドの髪をなびかせて、蜂蜜色の瞳の少女が私の横を駆け抜けた。
白いドレスに身を包んだ少女はそのままエルベルト様に抱きついて、まるで恋人同士のように寄り添っている。エルベルト様も当たり前のように少女の腰に手を回した。
「おお、シャロン! やっと来たか! 待ちくたびれたぞ。今ちょうど婚約破棄をセシルに告げたところだ」
「まあ、エル様ったら……あれほど待っていてくださいとお願いしたのに」
「すまないな、一刻も早くシャロンが私のものだと公言したかったのだ」