婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!
『……その赤髪は、アマリリスの魔女か』
『質問に答えなさいよ。最近あの子を探っている連中がいるからどういうことかと思ったけど、あなたどういうつもりなの?』
俺を睨みつけるように鋭い視線を向けてくる。アマリリスの魔女とセシルが一緒に消えたと報告書にあったから、なんらかの形で関わっていたんだろう。しかもこの物言いだとセシルに随分肩入れしているようだ。
ならば、味方につけたほうが得策か?
『俺の妻にする。それだけだ』
『はっ! バカ言わないでくれる?』
『いや、いたって真剣だ。俺にはセシルしかいない』
『…………』
渋い顔でなにやら考え込んでいる。一緒にいたイリアスも警戒していたが、話の流れが見えなくて困惑しているようだ。
『じゃぁ、この仮面をつけて。真実の愛で触れてもらわないと外れない呪いの仮面よ』
『なっ……、貴様、陛下がこのようなものをつけられる訳がないだろう!』
『っ! まさかとは思うが……』
イリアスが食いついたが、仮面を見て俺はあることに気が付いた。