婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!
『これを作ったのはセシルだな?』
『はあ!? なんで見ただけでわかるのよ!?』
『セシルの魔力の波動ならわかる。間違いない』
『……魔女の私でも魔力の波動なんてわかんないわよ』
『俺だってわかるのはセシルの魔力だけだ』
『『…………』』
なぜか、ふたり仲良く無言になった。なにかおかしなことを言ったか? まあ、いい。おかげで確実にセシルと結婚できる策を思いついた。この仮面があれば間違いなくセシルを妻にできる。
俺の頭の中では、すでに純白のウエディングドレスを着たセシルが優しく微笑んでいた。
『あっ! 陛下、待っ——』
イリアスの静止を振り切り、呪いの仮面をつける。ぴたりと張りついて、まるで俺の顔の一部になったようなフィット感だ。セシルの仕事ぶりに感嘆する。さすが俺のセシルだ。
『あなた……本当にセシルを想っているのね。ふふ、それならいいわ』
『おかげで確実にセシルを手に入れられる。感謝する』
『でも、もしセシルを悲しませるようなことをするなら……その時は私があなたを呪うわ』
それだけ言い残して、アマリリスの魔女はまた影の中へと消えていった。
『イリアス、作戦変更だ。ブレイリーを呼んでくれ』
『承知いたしました。それと、陛下の仮面についても協議が必要です。そちらも手配します』
『頼んだ』