婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!
初夜の翌日だからレイの公務は午後からにしているというので、今後のことについて相談した。なかなか手の込んだ偽装だ。
侍女たちが運んできた少し遅めの朝食をふたりで摂りながら、まずは解呪のスケジュールを話し合う。
「寝る時間はまちまちだが、日中なら解呪の時間を取れると思う」
「それなら時間を決めてもらえれば準備して待ってるわ。もし予定が変わる時は先に教えてくれる?」
「わかった、では昼食後すぐでも構わないか?」
「いつでもいいわよ。あ、あと家に置いてきた薬草のプランターは持ってきてもいい?」
家を出る時は、まさかこんなことになるとは思っていなかったので気になっていた。丹念に育ててきた薬草なので、できれば採取できるまで育てたい。
「そうだな……なんなら場所を用意するから、庭で育てるか?」
「えっ! いいの!?」
「ああ、こちらの都合で連れてきたからな。これくらいはなんでもない」
「レイ、ありがとう!」
悪魔皇帝の意外な申し出に満面の笑みを浮かべる。
「……っ! いや、いいんだ」
レイは一瞬息が詰まったようにピシッと固まって、ふいっと横を向いてしまった。
なんだろう、魔女の笑顔なんて不気味だったのだろうか? ちょっとだけムッとしながらも、会話を続けた。