婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!
シャロンは私と同じ歳の妹だ。六年前に母が亡くなってすぐに後妻と一緒にやってきた。腹違いの妹だと言われたが、誕生日は二週間しか違わない。ずっと母を裏切っていのだと理解して、父には嫌悪感しか抱けなくなった。
母と政略結婚だった父はそんな私を可愛いと思うはずもなく、後妻とシャロンにも邪険にされ侯爵家の中ではずっと存在を無視されていた。唯一優しかった兄に助けを求めても、我慢しろと言われるだけだった。
そんな空気を察したメイドたちも、必要最低限の仕事しかしなくなった。
エルベルト様との婚約は母の存命中に結ばれていて、外聞が悪くなるからと傷が目立つような折檻は受けなかったし質素でも食事は与えられていた。ただ、侯爵家には不要な存在として扱われていただけだ。
そんな味方のいない私にとっては、エルベルト様と結婚して家を出るのが心の支えだったのだ。
それなのに、その希望すらも奪われてしまった。