婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!
確かに私は闇魔法の使い手だし、魔女になれるのは闇属性の魔法を使える女性だけだ。でも、呪いをかけることができるのは本物の魔女だけだし、魔女には会ったことすらない。
「その……媚薬の呪いをかけられたとき本当に辛かったの。それを助けてくれたのがエル様だったの。ごめんなさい、お義姉様」
「媚薬の呪い……? いったいなんのこと?」
本当に意味がわからなくて尋ねると、エルベルト様が私を忌々しく睨みつけてきた。
「黙れっ! とぼける気か!? 呪いで媚薬を飲んだような状態にしておいて、ならず者に襲わせる計画だったのだろう! 私がいなければ、今頃シャロンはどうなっていたか……!」
「でも呪いをかけられたからこそ、エル様の寵愛を受けることができたわ。その時にお互いの気持ち気付けたんですもの。お義姉様には感謝しかないわ」
つまりエルベルト様とシャロンはすでに男女の仲ということだ。
私が婚約者なのに、呪いなんてかけられないのに、私が悪いからとこのふたりは一線を超えたという。いくら義妹に冷たくされたといっても、そんな非道なことができるわけない。
でもエルベルト様は私を信じてくれなかった。出会った頃に囁いていた愛の言葉はなんだったのだろうか。