極上の一夜で懐妊したらエリートパイロットの溺愛新婚生活がはじまりました
 そこへ奥のリビングから母が出てきた。

 腕に航を抱いている。

 航は母にたくさん遊んでもらったのだろう、上機嫌といった様子だった。

「果歩? お話、終わったの? 翔さんは?」

 果歩が独りで玄関に立っていたのを不思議に思ったらしく、そう聞いてきた。

 でも果歩だってわからない。

 待っていてほしいと言われただけだ。

「うん……、なにか、車から持ってくるって……」

 自分でもよくわからないままにそう言ったけれど、そこでがらりと玄関のドアが開いた。

 入ってきたのは、もちろん翔。

 だがその姿を見て、果歩は目を見張ってしまう。

 目に入ってきたのは、深紅。

 深い赤色をした薔薇が何本も束ねられた花束を、翔は抱えていたのだ。
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