極上の一夜で懐妊したらエリートパイロットの溺愛新婚生活がはじまりました
「果歩」

 ドアを閉めて、翔は静かに入ってきた。

 そして立っていた果歩に、迷うことなくその美しい花束を差し出してくる。

「付き合ってほしいと言ったが、それだけじゃない。果歩、俺と結婚してくれ。必ず幸せにする」

 両手で大きな花束を差し出し、翔は果歩の瞳を真っ直ぐに見つめて言った。

 それはプロポーズ。

 告白以上のものだ。

 果歩の胸は、じんと熱くなった。

 かっと熱いものが爆発したような感覚が、体の奥で生まれる。

 目を丸くして、すぐに手も出なかった果歩に、翔は先ほどと同じ。

 今は笑っていたいとばかりに、ちょっと硬い笑顔を浮かべる。

「俺を果歩のパートナーと、息子のパパにしてほしいんだ」

 それが最後だった。

 果歩はもう、ためらうことがなかった。

 さっき我慢した涙は、今度耐え切れなかった。

 一気に込み上げ、すぐにぽろぽろっと目から零れてくる。

「……っ、ありがとう……!」

 その涙を拭わないうちに、果歩ははっきり言って、手を差し出していた。

 翔の腕から薔薇の花束を受け取る。

 花束は大きく、ずっしり重かった。

 何輪あるのかもわからないくらいだ。

 まるで翔からの気持ちを表しているような、素敵な重みと本数だ。
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