極上の一夜で懐妊したらエリートパイロットの溺愛新婚生活がはじまりました
「このあとは片付けをしないとね」

 お茶を飲みながら、今日の計画について話す。

 引っ越し初日なのだから、運びこんだ荷物を片付けなければ。

 家具や家電はこの家にあるものをそのまま使うか、新しく買って、すでに搬入してもらったものを使うので、大きなものはないけれど、服や小物などといった身の回りのものは自分で片付けなければ。

「ああ。俺がしてもいいけど、服とかは果歩のほうがいいか?」

 質問に、果歩は何気なく頷いた。

「そうだね。航のものもあるし……」

 しかし、続けたことには翔が名乗りを上げた。

「それなら航の服について、教えてくれよ。サイズとか洗濯とか……、俺もできるようにならないと」

 果歩の胸が、ほこっとあたたかくなる。

 航に関係することや、育児をするうえで必要になることを知りたいと言ってくれる。

 なんて優しくて熱心なひとなんだろう。

 そう実感した。

 翔ははじめに言っていたように仕事が忙しいから、家にいないことも多くなるだろう。

 今日だって、妻子の引っ越しだからと言って、少し多めに休みをもらったに過ぎないのだ。

 だからこれから家事をする機会だって多くならないだろうに、それでも言ってくれるのだ。

「ありがとう。じゃあ、一緒にやろう」

 でもそれならお言葉に甘えるだけだ。

 果歩はにこっと笑って、そう言った。
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