極上の一夜で懐妊したらエリートパイロットの溺愛新婚生活がはじまりました
家族の日々
「おかえりなさい、翔さん」

 ことこと煮えていくお鍋の中をかき混ぜていた果歩は、インターホンが鳴ったのに気付いて、すぐ迎えに出ていった。

「ぱーぱ! おかえり!」

 同じようにとことこ出ていった航も、上手に「おかえり」を言う。

 二歳が近付いて、どんどん言葉も上手になってきているところだ。

「ただいま、果歩、航」

 玄関を閉めた翔は、にこっと笑う。

 玄関先に大きな荷物をそっと置いて、もうひとつの軽そうな手荷物を果歩が受け取った。

 そうしてからしゃがみこんだ翔は、航に腕を伸ばして抱き上げた。

 航はすぐ、もっと嬉しそうにきゃっきゃとはしゃぎだす。

 でもそれも仕方がない。

 だってもう数日ぶりになるのだから。

「こっちはなんともなかったか?」

 航をあやしながら、翔は果歩に聞いてくる。

 果歩は穏やかに頷いた。

「うん、問題なかったよ」

 それを聞いて翔は安堵したようだった。

 だが申し訳なさそうな様子で軽く謝ってくる。

「そうか、良かった。ごめんな。新年早々、何日も」

 年が明けてすぐ、翔は何日か家を空ける仕事に出掛けていたのだ。

 でも果歩は首を振った。

「そんなことないよ。お仕事、今回はグアムだったんだよね。お疲れ様」
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