極上の一夜で懐妊したらエリートパイロットの溺愛新婚生活がはじまりました
「果歩にずっと触れたかった……」

 果歩をベッドの上に下ろし、自分は端に座って、もう一度腕を伸ばして優しく抱きしめてくる翔は、幸せそうな声でそう呟く。

 果歩も再び自分から腕を伸ばして、翔の背中に回した。

「私も……だよ」

 翔の胸に頭を預けて小声で言った。

 小さな声でも届くほど距離が近いのだ。

 これほどぴったり密着できる機会は少ないけれど、だからこそ強い幸せを感じられるともいえる。

「今回の仕事も、オフタイムはずっと果歩と航のことを考えてた。写真ばかり見てしまって、同僚にからかわれたくらいだ」

 果歩をしっかり抱きしめてそう言う翔は、少し苦笑していた。

「そうなんだ」

 そんなことを言われて、喜びとくすぐったさ、少しのおかしさも果歩の胸に溢れた。

 これほど想ってもらえることが嬉しくてならない。

「ああ。だから日本に帰れる日が、以前よりずっと楽しみで……早くその日が来ないかなとばかり考えてしまって……、自分がこんなふうになるなんてな」

 翔は続けたけれど、それは果歩にとってはごく自然な思考であり、むしろ自分にとってはとても嬉しいと思ってしまうことだった。

 なので小さく首をかしげた。

「そうかな? おかしくないと思うけど……」

 果歩の反応と答えに、翔はほっとしたように、小さく息を吐きだした。

 その腕で果歩をもっと強く抱きしめてくる。

「ありがとう。……果歩のことを、もっと、もっと好きになっていると思うんだ。ママとしてだってそうだけど、俺の奥さんとして」
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