極上の一夜で懐妊したらエリートパイロットの溺愛新婚生活がはじまりました
「仕事に復帰するのはいいと思う。でも、もうしばらく待ってくれないか?」

 少し考えた様子のあと、翔はそんなふうに言った。

「もうしばらく?」

「ああ」

 聞き返すと、翔は頷いた。

「夏か秋頃まで……。どうだろう、遠すぎるかな?」

 時期を出されたけれど、具体的であるような、ぼんやりしたものであったので、果歩はもう一度、内心首をかしげた。

 だが別に反対する理由はない。

「ううん。じゃあもう少ししてから考えようか」

 頷いた果歩に、翔はちょっと申し訳なさそうになる。

「そうだな、我儘を言うようで悪い」

 謝られたけれど、別に我儘ではないだろう。

 果歩はにこっと笑った。

「そんなことないよ」

 そういうわけで、仕事については少し保留になった。

 でも夏か秋までって、どうしてだろう。

 果歩は不思議に思ったけれど、そこでアニメが終わったようで、航がこちらへやってきた。

 今度は一緒に遊ぶことにして、翔とのこれからの話はそこまでになった。

 果歩が不思議に思ったことは、二月に入った頃、はっきり知ることになる。
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