極上の一夜で懐妊したらエリートパイロットの溺愛新婚生活がはじまりました
　果歩が呼んだ名前に、彼は、逢見は嬉しそうに目元を緩めた。

　目を白黒させてしまった果歩に、逢見が説明してくれる。

「休暇なんです。昨日から……、久しぶりにハワイでの休暇なので、昼間の海を見たいなと思いまして」

　なるほど、お休み。

　果歩はすぐに理解し、わかってしまえばなにもおかしなことではなかった。

　休暇というなら、空港そばの街にいても自然だ。

「そ、そうなんですね！　本当に偶然です……」

　感じ入ったように言った果歩。

　逢見は果歩にストールを渡してくれて、そのまま少し話をした。

「早瀬さんはいつまでこちらに？」

　海を静かに見られる柵の前に落ち着いて、逢見が聞いてくる。

　こんなところで、初日に会って助けてもらった逢見さんに会えるなんて思わなかった。

　嬉しい偶然だったな。

　そんなふうに思いながら、果歩は返事をした。

「はい、もう今日の夜には帰ります」

　言ってから気付いた。

　そうだ、再会できたといっても、自分はあと数時間でここを発つのだ。

　それなら今度こそ、また会う可能性はかなり低くなるお別れになるだろう。

　……ちょっと寂しいな。
< 22 / 151 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop