極上の一夜で懐妊したらエリートパイロットの溺愛新婚生活がはじまりました
 ゆっくり話をしながら味わう料理はフレンチだった。

 前菜に出てきたのはカルパッチョで、白身の魚の新鮮さにも驚いたけれど、もっと驚いたのは、黒くつやつやしたキャビアが贅沢に乗せられていたことだ。

 キャビアなんて今まで食べたことがなくて、高級食材としか知らなかったのに。

 メイン料理はロブスターのポワレ。

 ロブスターだって食べるのは初めてだ。

 海老(えび)の一種であるが、普通の海老とはもちろん、日本で大きな海老といえば伊勢(いせ)海老(えび)であるが、もっとワイルドな印象を果歩は受けた。

 そこからも、ここが紛れもなくハワイという、ある意味別世界なのだという実感が湧いてくる。

 それに定番の冷製スープやリゾットなども、果歩が今まで日本で食べてきたものとは少し味付けが違うものの、濃厚なのに食べやすい、明らかに上質な味わいだったものだから、これまた驚いてしまった。

 海に囲まれている場所だから、カルパッチョやロブスター以外にも海鮮の料理が多く出てきた。

 ポワレを切り分けながら、翔と果歩は今日、一日の素敵なお出掛けについてを話す。

 どこへ行っても、なにをしても、なにを見ても、楽しかった。

 新鮮で高揚する気持ちもあったけれど、純粋に楽しめたのだ。

「果歩は日本でなんの仕事をしてるの?」

 次は果歩に質問が来たけれど、果歩はちょっと気が引けてしまう。

 翔から立派な仕事模様の話を聞いたところなのだ、自分の仕事なんて、平凡すぎるし誰にだってできることだ。
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