極上の一夜で懐妊したらエリートパイロットの溺愛新婚生活がはじまりました
育っていくお腹
 数ヵ月後。

 果歩は実家に引っ越してきた。

 独り暮らしを続けて、里帰り出産をする方法もあった。

 だが本当に大変なのは産んでからなのだ。

 独り暮らしでワンオペになるのは不安だった。

 そこに母から「心配だし、しばらくうちに帰ってきたら?」と言ってもらえて、とても有難かった。

 出産前から、お腹の子が、せめて一、二歳頃になるまで。

 その間はお言葉に甘えよう、と果歩は思ったのだった。

 それに実家は会社に通えない距離ではない。

 少し遠くなるので、通勤に一時間弱かかるようにはなってしまうけれど、独りの家に帰って家のこともすべてするより、ずっと心も体も楽になる。

 妊娠が発覚して、きちんと産婦人科に通うようになってから、もう数ヵ月経つ。

 つわりもはじまっているし、気分が良くない日も多い。独りで生活するだけでも大変な頃だ。

 母はもちろん、事あるごとに「具合がおかしいことはない?」と気遣ってくれるし、父も報告したときこそ驚いたものの、今では「楽しみだ」と言ってくれる。

 優しい両親で、私は本当に幸せ。

 果歩は頻繁に噛み締めるのだった。
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