極上の一夜で懐妊したらエリートパイロットの溺愛新婚生活がはじまりました
 やがて臨月が近付いて、会社もしばらく休むことになった。

 会社でも、妊娠を報告したとき嫌がられることなどなくて、少し不安だった果歩は安心できたものだ。

 特に女子の部下に優しい上司の三枝などは、とても喜んでくれた。

「素敵じゃない! 大丈夫よ。なにか言われたら、私に頼りなさい」

 明るい顔でそうまで言ってくれて、果歩はまた涙を滲みさせてしまったものだ。

 それに友人たちにも受け入れられて、皆、「手伝えることがあったら言ってね」と言ってくれる。

 果歩はお言葉に甘えて、たまに会って話を聞いてもらったりしていた。

 実家で静かに過ごすようにしていた果歩。

 すっかり大きくなったお腹を撫でるたびに、会えるのがとても楽しみになっていた。

 もう不安もためらいもない。

 必ず幸せにしてみせる、という決意がある。

 気持ちからすでに、果歩はママになれていたのだろう。

 周りのひとの優しさと気遣い、それから強くあれるようになった果歩の心。

 それを感じ取ったように、数ヵ月後、春の盛りであるあたたかい日。

 お腹の子は無事に産まれてきた。
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