極上の一夜で懐妊したらエリートパイロットの溺愛新婚生活がはじまりました
展望台と飛行機と
「航、楽しかったね」

 からから、と小さな音を立てるベビーカーを押しながら、果歩は乗っている航に優しく話しかけた。

 ベビーカーには青い風船がくくりつけてあって、進むたびに、ふらふらかわいらしく揺れた。

「ん!」

 航も乗っているベビーカーから上向いて、果歩を見てくる。

 たくさん楽しいことをして満足した、という表情だ。

 果歩はつい笑いかけていた。

「飛行機、落っことさないようにね」

 航はさっき買ってあげたお土産の飛行機……布でできたぬいぐるみ……それを手にしっかり握っているので、果歩は穏やかな気持ちでそう言った。

 九月になったが、ここしばらくの気候だと十月くらいまでは夏日が戻ってくることもある。

 今日はまさにそんな日で、お日様は特別明るかったし、暑いといえる日であった。

 果歩は半袖ブラウスの上に、日よけの薄いカーディガンを羽織っただけの格好であるし、航も半袖シャツだった。

 商業施設の最上階からエレベーターで降りて、一階の入り口から出るべく、ベビーカーでゆっくりと歩いて向かっていた。
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