極上の一夜で懐妊したらエリートパイロットの溺愛新婚生活がはじまりました
 航はリビングにあるベビーベッドですやすや眠っていた。

 展望台でたくさんはしゃいだし、移動も短くなかった。疲れただろう。

 帰り道でもう、うとうとしだしていて、ベビーベッドに寝かせると、そのままぐっすりだったのだ。

 寝室にもベビーベッドはあるから、そちらに寝かせても良かったけれど、なんとなくこちらに寝かせてしまった。

 航も関係があることだからかな、と果歩は翔の向かいに座りながら、思った。

「……とりあえず、久しぶり」

 翔は出された麦茶を飲むより先に、切り出した。

「うん……久しぶり」

 自分もお茶を飲む気持ちではなかったので、そのまま果歩は頷いて、同意した。

「それで、ごめん」

 すぐ話は本題になった。

 翔が小さな声で言い、頭を下げた。

 果歩は驚く。

 謝られるのはなにに対してだろう。

 航のこと?

 いや、まだ翔の子だとは言っていない。

 では……?

「書き置きだけ残していなくなるなんて……、酷いことをした。申し訳なかった」

 謝られた理由は、そう続けられて理解した。

 そう言われれば、確かに謝られるようなことだった、と果歩はやっと思い当たったくらいだったのに。
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