太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~
腕時計を見ると18時30分。

夜はラピスのレストランに19時で予約してあるし、そろそろホテルに戻るか。


……
…………

ホテルの部屋に戻り、支度を整えてレストランに来ると、また麻依が固まった。

「諒…ここでディナーって…今日は凄すぎない…?あ、ドレスコードって大丈夫かな…」

「ここはイタリアンレストランでそんな仰々しいとこじゃないから大丈夫だよ。俺も結構ラフだし」

いつも常識的で冷静な麻依がオドオドしてる。
あぁ、常識的だから気になるのか。

「そうだね…じゃあ大丈夫かな、うん」

「実はさ、ここのホテルの高級なフランス料理は俺もちょっとマナーとか不安だし緊張するからさ、気兼ねなく楽しめるイタリアンにしたんだよね。まぁ一応はコースだけど、フレンチよりはイタリアンの方が馴染みがあるじゃん?」

麻依が気にしてるみたいだったから、俺の心の内を素直に伝えた。

もう〝余裕のある大人の男〞の片鱗なんてどこにも見あたらないけど。

でも麻依が安心してくれるならそれでいい。


「そうなんだ…ありがとう。うん、イタリアンなら気楽に楽しめそうだね、ふふっ」

うん、この笑顔が貰えればそれで充分。




テーブルに次々と置かれて紹介される料理はやはり馴染みのあるメニューが多いのだけど、いつも食べてるのより趣向が凝らされていて一味も二味も違い、それがまた2人の思い出話に花を添えた。


「ふぅ…美味しいイタリアンだったね!お腹いっぱいなのにデザートのパンナコッタもレモンソースであっさりと食べられちゃった」

最後に出されたエスプレッソを頂きながら、幸せ~と麻依が顔を綻ばせて呟く。

俺ももちろん美味しく頂いたけど、やっぱ麻依に喜んで貰えるのが一番嬉しい。


さて、これから…
部屋に戻ったら、俺には重大任務がある。


はー…緊張してきた。

どうか神様!成功しますように!
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