太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~
頼れる女神、ナナとエマ/side麻依
金曜日の夕方、久しぶりに電車に乗った。
車での移動が当たり前の私にとっては、電車やバスに乗ることでさえ非日常。
だから、これだけでもワクワクしちゃう。
待ち合わせ場所は、ナナエマの会社『ライト建設』本社のある、M市のM駅。
改札を出たところで「マイ~、いらっしゃい!」と、ナナエマが揃って待っててくれた。
それから3人で入ったのは、駅から歩いて5分くらいの、おしゃれなハワイアン居酒屋。
おいしいハワイ料理をつまみながら、南国チックなカクテルをいただく。
女子会の時の話はだいたいお互いの近況になるのだけど、やはりナナエマは私と諒のことを聞きたがるんだよね。
ラブラブ話を楽しみにしてくれてるから。
普段なら構わないんだけど、今回はご期待に沿える話ではないからなかなか言い出せなくて…
でもナナとエマだからこそ、正直に話した。
ひよりんに話したのと同じ、式場での出来事と自分の胸の内。
そして1週間、2人きりで会ってない事…
「だから、ラブラブな情報があげられなくてごめんね」と謝った。
ただ、ひよりんに話したドン底状態の時と大きく違うのは、ひよりんと福田くんに心の力をもらえてること。
それと…時間の経過と共に、気持ちも落ち着いてきているのもあると思う。
だから、式場での出来事は思いの外、淡々と話せた。
あと…私の胸の内はというと。
諒に対する怒りというのはもう全然なくて…こんなちっぽけな嫉妬する自分が、ただただ情けないという気持ちでいっぱいだった。
情けないと思う気持ちは、福田くんからの抱擁とキスを拒めなかったのも大きい。
でも福田くんとのことは誰にも言わないで、私の胸に秘めて墓場まで持っていくつもり。
最後まで黙って聞いててくれたナナとエマは、私が話し終えるとこぞって励ましてくれた。
「何よ、その女!そんなことされたら誰だってムカつくの当たり前だよ!」
「諒くんもさ、大事な場面で奥さんをほったらかすなんて、男の風上にも置けないっての!」
「何ならウチの会社のマイのファンクラブのやつらにマイがフリーになったって言ってやろうかぁ!?」
2人はひよりんと同じく、私以上に憤慨してくれている。
そんな2人を見ていたら、自分の身の事なのに逆に冷静になれた。
「ナナ、エマ…ごめんね、諒もたぶん理由があったと思うの…それなのに…私の心が狭くて…情けないだけなのに……ありがとう…大好きだよぉ」
「マイ~、あたしも大好きだよ~」
「もちろんあたしも!さ、今日はパアッと楽しく飲も飲も!」
カクテルを選びながら、そういえば…さっき何か聞き捨てならない言葉を聞いたような…と記憶を遡る。
あっ、そうだ。
「ねぇ…さっき私のファンクラブがどうとか言ってなかった…?」
「ファンクラブ?うん、言ってなかったっけ?うち、マイのファンクラブがあるのー。今、20人はいるんじゃない?あたしらも入れて。ねぇ、ナナ?」
ブルーハワイ片手にエマがナナに話を振る。
「うん、それくらいいるねー。あはは、すごいっしょ?」
ナナもあっけらかんと話す。
は、はぁ!? ファンクラブ…!?
意味がわかんないんだけど…
「何それ…ていうか、そもそも何するの?」
「女子会した時に撮った写真見たりとか、マイの良さを語ったりとか?」
「えぇ!?ちょ…写真見せてるの!?」
「うん!みんなで『眼福~萌える~』って言ってさ。でも他のやつらには画像はあげてないからね!見せるだけ!アイツらの妄想や快楽のために使われたらたまったもんじゃないからね!」
「なっ…妄想?か、快…って…」
「海で一緒に撮ったやつなんか特に欲しがられて大変だったんだから」
「あー、あれは絶対使われるよね。特にあの女豹は超絶セクシーだもん。想像力働かせたらイチコロだねー」
「女豹!? なにそれ!そんなの撮ってないよね?」
「腕相撲の時だよ、四つん這いになったじゃん。まだ腕を組む前の、肘をついた時の写真が女豹チックでさ」
「それ知らないんだけど…」
「そう?じゃあマイのスマホに送っておくね」
「うん、そうして。って、いやいやいや…」
「まぁマイには迷惑かけない程度にみんな楽しんでるってことで!」
「うーん…いいのかなぁ…」
「いーのいーの!マイはたくさんの人を幸せにしてくれてんのッ!諒くんにはそれを胸に刻んどいて欲しいわ!今度会ったら言っておかなきゃ!あなたはこーんなイイ女を奥さんにできる幸せ者なのよ!って!」
「あっはは、出た!ナナの力説!酔っぱらうにはまだ早いぞー」
「酔ってないって。マジなだけー」
かじったオレンジピールをプルプルと振りながらナナが言う。
「あはは、ありがとう。ナナもエマも、今日はすごく楽しい!あっエマ、ブルーハワイなくなったね、次は何にする?」
「そうだなー、マイが飲んでるのにしよっかな」
「うん、パイナップルが甘くておいしいよ」
「じゃあそれにする!」
…今日の女子会は楽しくて…カクテルもすごく美味しくて…ちょっと飲みすぎたみたい…
んー…ふわふわして気持ちいい…
……
…………
「あれ、スマホ鳴ってる」
「マイー、マイのだよ、って寝てるし」
「あは、寝顔も可愛い!マイは何してても可愛いんだねー」
「ホントホント。ていうか誰から?」
「あ、諒くんじゃん……出るべき?」
「出るべき?」
「「だよね」」
画面をトッ、とタップする。
『もしもし、麻依?…今どこ?』
「あらぁ、諒くんじゃないですかぁ、あ、私ナナでーす」
「エマもいまーす。マイは寝ちゃってまーす」
『え?ナナさんとエマさん?』
「はーい、そうでーす。今日は3人で女子会でーす。マイお借りしてまーす。何なら貰っちゃいまーす」
『はい?えっと…どういうこと?』
「まぁまぁそれはさておき。どうするー?迎えに来るー?それともあたしん家に泊めてもいーい?」
『…迎えに行きます。どこですか?』
「M駅の近くのハワイアンバー『ラニカイ』ってとこ。じゃあ待ってるねー」
…………
……
――この時、私は既に心地よく夢の中にいて、これから何が始まるかなんて知るよしもなかったのだった――
車での移動が当たり前の私にとっては、電車やバスに乗ることでさえ非日常。
だから、これだけでもワクワクしちゃう。
待ち合わせ場所は、ナナエマの会社『ライト建設』本社のある、M市のM駅。
改札を出たところで「マイ~、いらっしゃい!」と、ナナエマが揃って待っててくれた。
それから3人で入ったのは、駅から歩いて5分くらいの、おしゃれなハワイアン居酒屋。
おいしいハワイ料理をつまみながら、南国チックなカクテルをいただく。
女子会の時の話はだいたいお互いの近況になるのだけど、やはりナナエマは私と諒のことを聞きたがるんだよね。
ラブラブ話を楽しみにしてくれてるから。
普段なら構わないんだけど、今回はご期待に沿える話ではないからなかなか言い出せなくて…
でもナナとエマだからこそ、正直に話した。
ひよりんに話したのと同じ、式場での出来事と自分の胸の内。
そして1週間、2人きりで会ってない事…
「だから、ラブラブな情報があげられなくてごめんね」と謝った。
ただ、ひよりんに話したドン底状態の時と大きく違うのは、ひよりんと福田くんに心の力をもらえてること。
それと…時間の経過と共に、気持ちも落ち着いてきているのもあると思う。
だから、式場での出来事は思いの外、淡々と話せた。
あと…私の胸の内はというと。
諒に対する怒りというのはもう全然なくて…こんなちっぽけな嫉妬する自分が、ただただ情けないという気持ちでいっぱいだった。
情けないと思う気持ちは、福田くんからの抱擁とキスを拒めなかったのも大きい。
でも福田くんとのことは誰にも言わないで、私の胸に秘めて墓場まで持っていくつもり。
最後まで黙って聞いててくれたナナとエマは、私が話し終えるとこぞって励ましてくれた。
「何よ、その女!そんなことされたら誰だってムカつくの当たり前だよ!」
「諒くんもさ、大事な場面で奥さんをほったらかすなんて、男の風上にも置けないっての!」
「何ならウチの会社のマイのファンクラブのやつらにマイがフリーになったって言ってやろうかぁ!?」
2人はひよりんと同じく、私以上に憤慨してくれている。
そんな2人を見ていたら、自分の身の事なのに逆に冷静になれた。
「ナナ、エマ…ごめんね、諒もたぶん理由があったと思うの…それなのに…私の心が狭くて…情けないだけなのに……ありがとう…大好きだよぉ」
「マイ~、あたしも大好きだよ~」
「もちろんあたしも!さ、今日はパアッと楽しく飲も飲も!」
カクテルを選びながら、そういえば…さっき何か聞き捨てならない言葉を聞いたような…と記憶を遡る。
あっ、そうだ。
「ねぇ…さっき私のファンクラブがどうとか言ってなかった…?」
「ファンクラブ?うん、言ってなかったっけ?うち、マイのファンクラブがあるのー。今、20人はいるんじゃない?あたしらも入れて。ねぇ、ナナ?」
ブルーハワイ片手にエマがナナに話を振る。
「うん、それくらいいるねー。あはは、すごいっしょ?」
ナナもあっけらかんと話す。
は、はぁ!? ファンクラブ…!?
意味がわかんないんだけど…
「何それ…ていうか、そもそも何するの?」
「女子会した時に撮った写真見たりとか、マイの良さを語ったりとか?」
「えぇ!?ちょ…写真見せてるの!?」
「うん!みんなで『眼福~萌える~』って言ってさ。でも他のやつらには画像はあげてないからね!見せるだけ!アイツらの妄想や快楽のために使われたらたまったもんじゃないからね!」
「なっ…妄想?か、快…って…」
「海で一緒に撮ったやつなんか特に欲しがられて大変だったんだから」
「あー、あれは絶対使われるよね。特にあの女豹は超絶セクシーだもん。想像力働かせたらイチコロだねー」
「女豹!? なにそれ!そんなの撮ってないよね?」
「腕相撲の時だよ、四つん這いになったじゃん。まだ腕を組む前の、肘をついた時の写真が女豹チックでさ」
「それ知らないんだけど…」
「そう?じゃあマイのスマホに送っておくね」
「うん、そうして。って、いやいやいや…」
「まぁマイには迷惑かけない程度にみんな楽しんでるってことで!」
「うーん…いいのかなぁ…」
「いーのいーの!マイはたくさんの人を幸せにしてくれてんのッ!諒くんにはそれを胸に刻んどいて欲しいわ!今度会ったら言っておかなきゃ!あなたはこーんなイイ女を奥さんにできる幸せ者なのよ!って!」
「あっはは、出た!ナナの力説!酔っぱらうにはまだ早いぞー」
「酔ってないって。マジなだけー」
かじったオレンジピールをプルプルと振りながらナナが言う。
「あはは、ありがとう。ナナもエマも、今日はすごく楽しい!あっエマ、ブルーハワイなくなったね、次は何にする?」
「そうだなー、マイが飲んでるのにしよっかな」
「うん、パイナップルが甘くておいしいよ」
「じゃあそれにする!」
…今日の女子会は楽しくて…カクテルもすごく美味しくて…ちょっと飲みすぎたみたい…
んー…ふわふわして気持ちいい…
……
…………
「あれ、スマホ鳴ってる」
「マイー、マイのだよ、って寝てるし」
「あは、寝顔も可愛い!マイは何してても可愛いんだねー」
「ホントホント。ていうか誰から?」
「あ、諒くんじゃん……出るべき?」
「出るべき?」
「「だよね」」
画面をトッ、とタップする。
『もしもし、麻依?…今どこ?』
「あらぁ、諒くんじゃないですかぁ、あ、私ナナでーす」
「エマもいまーす。マイは寝ちゃってまーす」
『え?ナナさんとエマさん?』
「はーい、そうでーす。今日は3人で女子会でーす。マイお借りしてまーす。何なら貰っちゃいまーす」
『はい?えっと…どういうこと?』
「まぁまぁそれはさておき。どうするー?迎えに来るー?それともあたしん家に泊めてもいーい?」
『…迎えに行きます。どこですか?』
「M駅の近くのハワイアンバー『ラニカイ』ってとこ。じゃあ待ってるねー」
…………
……
――この時、私は既に心地よく夢の中にいて、これから何が始まるかなんて知るよしもなかったのだった――