太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~
「あのね…あの人に声を掛けられて…諒も嬉しそうに見えたの」
…え?
「…話してるのも楽しそうに見えて…」
…楽しそう?
「あの人に〝私はあなたが知らない諒を知ってるの〞とか〝あなたは邪魔なの〞って言われてるみたいで…」
それがナナエマさんの言ってたマウントか…?
「それに、あの人が担当したいって言った時…私の気持ちを聞かずに決めちゃったから…諒は彼女と話したいんだ、一緒にいたいんだ、って思って…」
…あぁ…
俺が面倒くさがったからだ…
「それで何も言えなくなって…具合が悪いと思われて…」
そうだ…
麻依から笑顔が消えて辛そうだったから具合が悪いのかと…
「…一人で待ってる時に、私は何しに来たんだろうって…何で結婚式の相談なのに、諒の隣が私じゃないんだろうって思って……それで…2人の仲のいい楽しそうな姿を見て、これ以上惨めになりたくなくて…帰ったの……ごめんね、何も言わずに帰っちゃって…」
……そっか……
全部…俺が悪いんじゃん…
俺が…麻依をそこまで…追い詰めたんだ…
「麻依…ごめん…本当にごめん…」
麻依を抱きしめながら…涙が止まらない…
「俺…何にもわかってなくて…ガキで…」
「諒?…泣いてるの?」
「ごめん…自分のバカさ加減が許せない…」
「そんなこと…浮気しようとしたワケじゃないんだし…」
「それは絶対ないから!」
「うん…わかってる…」
「俺……麻依と結婚できることに浮かれてて…麻依のことも知った気でいて…でも何もわかってなくて…麻依の大きな愛に甘えてて……それで一番大事な麻依の気持ちを置き去りにしてた……ほんとバカなガキだよ……これじゃあ北条さんにも勝てねぇよ…」
「北条さんて…幸成さん?」
「ん……あの人に怒られた。麻依を大事にしろ、って。さもないと麻依を狙うって…」
「…そんなことあるわけないよ」
「あの人だろ?高校の時に男を蹴散らしてたユキナリって」
「…うん。友達の千紗のお兄さん」
「それで…大学の時の彼氏、なんだろ?」
「…え……」
「いいよ、俺は聞いても大丈夫だから。元彼でしょ?」
「…うん…」
「北条さんが俺に話してくれたんだ。北条さんが大学の時の彼女にフラれたって話。その彼女が麻依だとは言わなかったけど、北条さんの俺に怒る剣幕とかユキナリって名前とかいろんな条件を照らし合わせたら、きっと麻依のことだ、って思って」
「そっか…」
「北条さん、麻依のことを諦めきれてないみたいなのに、俺にちゃんとしろって怒ってくれたんだ。普通、邪魔者が消えた方が都合がいいはずなのにな。…それだけ麻依の気持ちを大事にしてるってことだろ?…そんなすげぇ大人の男でカッコ良くて…そんな人に俺は敵わないけど…」
俺は……
俺は……
「麻依は誰にも渡したくない!俺には麻依が必要なんだ!だから…俺のことを嫌わないで…麻依…」
お願いだから…嫌わないで…