太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~
諒の不安と秘密/side麻依
「…で?ミスキャンでグランプリだっけ?」
あぁぁ…
フルールを出て、車を走らせたばかりで早速…
「昔はそんなこともあったねぇ、若気の至りで。あはは…」
あの頃は千紗に乗せられて頑張っちゃったもんなぁ…
「はー…麻依ってマジですげぇのな…」
「え?」
イジワルな感じじゃ…ない?
「俺のいた大学でもやってたから何となくは知ってるけど、あれで一番になるって相当すごいと思う。…あぁ英語でスピーチしたって?」
「うん、大学の頃はCA目指してて英語とか外国語を勉強してたから」
そうだった、懐かしいな。
「今も英語は得意?」
「もう得意じゃないかな、好きではあるけどね」
「…そうなんだ。何かまだまだ俺の知らない麻依がたくさんあって、それが嬉しいような寂しいような」
「寂しいの?」
「ん…俺の知らない麻依を知ってる人がたくさんいて…でも俺は知らなくて」
「それを言ったら私だって同じだよ?私は諒の学生時代の事とか全然知らないもん。写真は少し見せてもらったけど」
「…そっか、そうだよな、麻依も同じだもんな」
「うん、諒がどんな生活をしてたのかとか…女の子とどんなお付き合いをしてたのかとか…気になったりするけど…でもその時間を過ごして今の諒があるわけだし、だったらそれでいいかな、って。諒とはこれから長い時間、人生を共にするんだし、その中で少しずつ知るのもいいよね。ふふっ」
私、諒と出逢うまで、こんな風に誰かと過ごす人生を考えた事なんてなかった。
考えて戸惑うこともあるけど、でも考えることが大事なんだって気付いたんだ。
人生に正しい答えなんてなくて、自分達が出した答えが、進むべき道。
それは途中で変わってもいいし、間違ってもいい。
またそこで考えたらいいんだもん。
「やっぱ麻依はすげぇよ。俺の欲しい答えをくれるんだから。あぁ…そうだよな、これから人生を共にするんだもんな。一緒に新しい経験をして、その中で少しずつ知っていけばいいんだもんな」
「ふふっ、そうだね」
「もぉ…俺は麻依に溺れっぱなし」
まいったな、と笑顔を私に向けてくれるけど。
「私だって…諒に溺れてる」
「んー?ほんとぉ?」
赤信号で停まり、ニヤニヤと私を見る。
「うん。今日だってずっとドキドキしてたし…」
「ふ、俺カッコよかった?」
「ん…すごく。見てるだけでもキュンキュンしちゃった。だから抱きしめられてすごくドキドキして…嬉しかったよ。エヘヘ」
恥ずかしいけど、気持ちはちゃんと伝えたくて、諒の目を見て言った…んだけど。
「っ…麻依やめて…運転中に可愛い顔して可愛いこと言わないで…」
って諒が照れちゃった。
「ふふっ、ごめんね。じゃあ後で言うね」
「ん、家に着いたらたくさん言って?」
ちらりと色気のある目で私を見る。
んん?その目は…なんですか?