太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~
第一章 早春の風が運ぶ新たな出会い

運命の出逢い/side麻依

冬は雪がそこそこ積もるこの地方は、3月に入ってもまだまだ冷える。


市内の駅前通りから国道に入り、更に山手の方へ延びる道路を走ること15分。

右手の丘に続く木立に囲まれた脇道へ入ると、緩いカーブの先に広い駐車場が見えてくる。

敷地の周囲にはコキアが等間隔に植えられていて、夏の鮮やかな緑と秋の真っ赤な紅葉は私達の目を楽しませてくれる。


その駐車場の先には、ダークブラウンのモダン且つシックな大きな建物。

道路から見える姿は四角いが、その反対側は半円形の壁になっており、1階2階共に壁同様の弧を描いた大きなガラス窓が印象的だ。

少し小高い丘の上にあるため、そのガラス窓からの眺めはすこぶる良い。


そして、この建物には季節問わず、曜日問わず、たくさんの人々が集う。


美術館か何かと間違えそうなこの建物の名前は…

『フューネラルホール ソレイユ』

……つまり、葬儀式場。
そしてここが私の職場。

< 2 / 268 >

この作品をシェア

pagetop