太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~
「…諒?どうしたの?」
あ、麻依が戻ってきてたのか…
「いや、なんでもないよ」
そう答えたけど、麻依が俺の腕を引っ張って、連絡先交換してるみんなから少し離れた。
「どうしたの?…何か…不安そうに見える」
そう言われて驚いた。
…から、素直に伝えた。
「智さんがすごい人だなって思って。麻依が…ほんとの智さんのすごさを知ったら…好きになるんじゃないかって、ちょっとね…」
「ほんとの福田くんのすごさって、ちゃんと周りが見えてる人ってこと?」
「!……わかって…るんだ」
「うん、まぁそれはね。私も福田くんはすごいと思う。あれは天性のものなんだろうけど、それだけじゃなくて、たぶん…傷ついた過去とかもあるんじゃないかなって」
あぁ…カミングアウトした時に「お前らはキモいって言わないんだな」ってなこと言ってたもんな。
麻依はそこまで考えてたんだ…
「でもね、それとこれとは関係ないよ。私が愛してるのは諒だけだから。…ねぇ諒?まだ私がどれだけ諒のことを愛してるか…わからない?」
俺の顔を覗き込んで言う。
「いや、愛されてる自信はあるんだけど…ただ智さんや他の人達がすごい人に見えてさ、たまに自分に自信が持てなくなるんだ」
「ん…わかるよ、それ……私もそうだから。…あのね、前に諒が言ってくれたのと同じ言い方をすると、私に甘さをくれるスイーツは諒だけなの。他の人達は誰もスイーツになれないから」
「麻依…」
「ふふっ、私に甘い恋心をくれるのは諒だけだし、私を甘くとろかせるのも諒だけなの。わかるかな?」
「麻依……ん、すげぇわかる……ありがと…ごめんな、旦那がこんなすぐ不安になるガキな男で…」
「ううん、私も同じだから。諒が不安な時は私が心ごと抱きしめてあげるし、私が不安な時は諒にそうしてもらうから。ね?…それに今日の夜は私がうんと甘やかしてあげる。ふふっ」
「麻依……ありがとう……」
「イイコイイコしようか?」
「ん…」
頭を少し下げると、麻依が頭を撫でてくれた。
「諒は支配人としてしっかりソレイユをまとめてる、すごい人なんだよ?…だから、頑張ってる諒に、イイコイイコ。ふふっ」
「麻依……愛してる」
大きな愛が…優しい温もりが…嬉しくて…愛しくて……ぎゅうっと麻依を抱きしめた。
「俺と結婚してくれてありがとう、麻依。ね、俺の奥さん、永遠に溺愛するから、覚悟してね」
「はい。あっ、諒もだからね?覚悟してね?ふふっ」
「なぁ、ちゅーしねぇの?」
は !?
いきなり聞こえたその声の方を見たら、すぐ近くで、しゃがんで膝を抱えた智さんが俺達を見上げてた…
そして離れた所から声が続く。
「智さーん、ジャマしちゃダメですってー」
「おーい智、何やってんだよー」
「だって、見たくなーい?2人のちゅー」
「そりゃあもちろん…じゃなくて!お前はこっち来ーい!」
「ちぇー、ぶーぶー」
と言いながら立ち上がった智さんが修さん達の方へ戻っていった。
「えっと…?」
麻依を見ると「見られてたんだね…」って顔を赤らめた。
「そうだね、見られてたらしいね。…じゃあキスも見せちゃおっか?」
わざとニヤける。
「もうっ、今はしないってば!今日だって何回見られたか…思い出しただけで恥ずかしい…」
「ん?恥ずかしいの?じゃあ普段から人前でキスしてれば慣れるんじゃない?あ、俺は平気だからね。いつだってどこだって麻依とキスしたいし」
「や…今はダメだよ?…えっとじゃあ、2人っきりになったらね?」
可愛い顔で俺を見上げて言う麻依にキスしたくなるのは当然の事で。
「わかった。2人っきりになったら…なーんて」
ちゅ
「ふ、ごめんね、麻依がたまらなく可愛くて我慢できなかった」
麻依に怒られる前に先に謝っとこ。
「もぉ……ふふっ、大好き!」
「ん、俺も!」
「諒くーん、麻依ー、この後の二次会の話するからおいでー」
千紗さんが腕を大きく振りながら俺達を呼ぶから、俺は麻依に手を差し出した。
「麻依、行こう」
「うんっ」
俺の手に触れたその小さな手を握って、清々しい青空の下を2人で歩きだした。
そこには2人を祝福するかのように、眩しい太陽の光がキラキラと降り注いでいた――