太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~
話は戻り…

収録後、麻依と千紗さんと3人でスタジオを出ると、入口で待ってくれていた翔琉と陽依さんと合流し、5人でぞろぞろと控室に向かった。

すると、俺達の控室が目前にきた所で、前方から来た女性が俺の目の前で立ち止まったんだ。

あぁ、大勢で邪魔だったかと端に避けようとした時…

「諒クン……諒クンよね?」

と声をかけられた。


えっ?俺?

そこで初めてその人をちゃんと見たんだけど……誰だ?
やや派手な顔立ちと衣裳の感じから芸能人かな?とは思ったが、俺は知らない人だった。

てか何で俺の名前を知ってんだ?
…と疑問に思い始めた時…


「諒クン!やっぱり迎えに来てくれたのね!嬉しい!待ってたのよ!」

と、抱きつかれた。


一瞬ワケがわからずフリーズしたが、すぐに「すみません!」とその人の肩を手のひらで押して体を離した。


な…なんだ……この人……

麻依以外の人に触られたと意識したとたん、体が一気にぞわっ!と反応した。

うわぁ…と両腕を組むように服の上からゴシゴシと擦っていると、麻依が心配そうに「大丈夫…?」と俺の腕を優しく擦ってくれた。

ふ…それだけで鳥肌が治まっちゃった。
やっぱ麻依ってすげぇ!神じゃん、神!



「あのう、人違いでは?」
使いものにならない俺に痺れを切らしたのか、千紗さんがその人に声をかけた。

「いいえ、だって諒クンよね?佐伯 諒クン」

「え……」
マジで俺を知ってるのか…?


「昔、元カノのアタシにプロポーズしてくれたじゃない。だから迎えに来てくれたのよね!」


「「「 えぇぇぇぇ !? 」」」


叫ぶ千紗さん・翔琉・陽依さんとは逆に、俺はワケが分からず言葉を失っていると、その女性の後方から「ナルミ、時間よ!」と急かすような声が聞こえた。

「あら…せっかく会えたのに残念。…また後で会いましょ、諒クン」

そう言うとひらりと体を翻し、俺達の前から去っていった。

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