太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~
チェックイン後、部屋のフロアが違う千紗さんと別れ、ホテルの部屋でやっと麻依との二人きりの時間が訪れた。

……やっぱ二人でいると気持ちの安らぎが全然違うな……


「麻依、今日はお疲れ様。身体…大丈夫か?」
ベッドに座り、横からゆったりと抱き締め、お腹を優しく撫でる。

「うん、大丈夫だよ、ありがとう。諒もお疲れ様」

「ん……それにしても、さっきのは一体なんだったんだろ。イタズラにもほどがあるよな。……ごめんな、麻依……目の前で女に抱きつかれるとか、イヤだっただろ…」

「ん…まぁね……でも諒がすぐに引き剥がしてくれたし」

「ほんとごめん…油断してた…ってかまさかあんなことされるなんて思わなくて」

「…ねぇ諒。月乃さんが本当に元カノって事はないの?」

「いや、まさか…」

「諒が過去に付き合ったのって、大学の時と前の職場の時だったよね」

「うん…大学4年の時が同級生で、前の職場の時は2歳上の人だったけど…」

「諒の2つ上か……プロフィール見ると月乃さんて私の1つ上なんだよね…」

「…それは…前の職場の時の人、って言いたいの?」

「年齢でみた場合の可能性としてね。諒はその人の名前とか顔とか覚えてないの?」

「うん……名前も顔も全然覚えてないんだよな…月乃ナルミって名前も初めて聞いたし…」

「そっか。月乃さんは本名を公表してないみたいだから名前はわからないね。あ、ねぇ…でもどうして諒はその人と付き合ったの?好きじゃ…なかったんだよね?」

「あぁ……その人、確か職場の先輩の同級生なんだよ。先輩に食事に誘われて行くといつもその人がいてさ。俺はてっきり先輩がその人のことを好きなんだと思ってたんだ。でもある日その人に付き合ってって言われて。…まぁ俺は興味もなかったから断ったんだけど、次の日、先輩に『お前、あいつと付き合えよ』って言われて、なんか強引に付き合わされたっていうか」

「え?その先輩の好きな人なんだよね…?なのに諒を勧めるの?」

「うん、だから俺もずっと不思議に思ってたよ。けど先輩に聞いてもいつもはぐらかされて、2人で食事とか行かされてさ。…恥ずかしい話だけど、俺その頃って他人には無気力ってか無関心で、あまり強く断る気力もなくて流されるままだったんだよね。でもそんな感じだからもちろん話も弾まないし、一応デートなんだろうけど、俺ここで何してんだろ、っていつも思ってたよ」


「ふぅん……その先輩、何を考えてたんだろうね…ちょっと聞いてみたいよね」

「だよなぁ……俺だったらそんなことできねぇよ……俺の片想いでも麻依を誰かに取られるなんて絶対やだよ…」

…その気持ちを考えたら、自然と麻依をぎゅう…と抱き締めてた。
< 230 / 268 >

この作品をシェア

pagetop