太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~

は…?

「…はぁあ !?」

…ここがバーであるとわかっていても、さすがの内容に声の大きさを抑える事ができなかった。
幸い、隅の席なのでそこまで目立ちはしなかったが。


「だってそうでしょう?『迎えに行く』だなんて気を持たせること言っておきながら他の人と結婚したのよ?……アタシの貴重な20代を……結婚適齢期も出産適齢期も無碍にしておいて」


「ですから俺は言ってません」

「ねぇ…アタシと結婚したら詐欺ではなくなるわよ」

「ですからしませんって。俺は麻依と絶対に別れません」

「そう…なら残念だけど…諒クンを結婚詐欺で訴えさせてもらうわね」


だから俺はそんなこと言ってねぇのに…
好きでもない女に言うわけねぇのに!

悔しくてギリッと奥歯を噛み締める。


そんな形勢不利な俺を、細めた目と歪んだ口元で笑う。

「フフ…そんな顔も素敵だなんて…ますます諒クンが欲しくなるじゃない………ねぇ…時間をあげるわ。明日の午前中にもう一度会いましょ。そこで最後の答えを聞くわ。……その時にゴシップ誌の記者を連れてくるけどね」

「ゴシップ誌?」

「知り合いにいるのよ、ゴシップ誌の記者が。最近いいネタがないって言ってたの。…諒クンがアタシと結婚してくれるなら何もしないけど」

「…俺が麻依と別れないなら?」

「諒クンの結婚詐欺を記事にしてもらうわ」

「記事…」

「えぇ、そうよ。今や女優としても活躍する大人気モデルを待たせるだけ待たせた挙げ句、他の女性と結婚して子どもまで作っちゃうんだもの。……そういえばさっき知ったんだけど、結婚式場のCMに出てるんですってね。…そんな人が結婚詐欺師だなんて、その式場さんも大炎上しちゃって大迷惑よねぇ……どう責任を取るの?フフ」


はぁ…
智さんが言ってた〝やり方〞ってのがここまで汚いとは思いもしなかったよ…


「諒クン、それじゃあ明日の11時に、このホテルの隣のビルの2階にある〝ルーリー〞って喫茶店でお話しの続きをしましょ。ちょっとした個室があるの」

「…わかりました、午前11時に喫茶店のルーリー、ですね」

はぁ…
もうため息しか出ねぇ……部屋に戻るか…

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