太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~
カチャリ…
「…麻依、ただいま。千紗さんも遅くなってすみません」

「諒!」

部屋に戻ると、パタパタっと麻依が駆け寄ってくれた。
ふ……それだけで今は涙が出そうなくらい嬉しくて安心する。

「おかえり!…諒……顔色が悪いよ…大丈夫?何があったの?」

「あたしの事なんていーわよ。それで諒くん、あの女に何を言われたの?…その顔はまた変なこと言われてきたね?えぇい、ここでぜーんぶ吐いちゃいな!」

時間がかかった事なんて気にも留めず、麻依も千紗さんも俺を心配してくれていて…
マジで嬉しかった。
さっきまで一人で〝何とかしなきゃ〞って考えてたから……俺は一人じゃないんだ!って改めて思えて嬉しかったんだ。


すると千紗さんが俺の胸ポケットを指さした。
「さっきの、出してみ」

あ、これか…
中に入っていた細長く平たい箱形の物を指でつまみ上げると、それを千紗さんがひょいと取り上げた。


「これ、ボイレコね」

「あぁ、そうだったんですね。でも何でまた…」

「あたし、会議とか仕事で使ってるのもあって持ち歩くのがもう癖でさ、仕事以外でもいろんなシーンで使ってるの。今回なんてまさにうってつけよ。とりま、あの女から言質を取って、何か反撃材料でも出てくればと思ってさ」

…あの短時間でそこまで……
「…ありがとうございます」

「で?何を言われたの?…後でコレも聞くけど、何かあの女の言い方とかムカつくから、先に諒くんから概要を聞いとくわ」

「はは……簡単に言うと、俺が月乃さんの元カレで、結婚しないと結婚詐欺で訴えられて、ゴシップ誌に載るみたいです」

「はぁ !? ちょっと何よそれ!ワケわかんないんだけど!」

「えぇ、俺もです」

「……じゃあコレ聞くわよ」
と、千紗さんがボイスレコーダーを再生した。

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