太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~
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「何これ、脅迫じゃん!何あの女!マジ信っじらんない!」

「まぁまぁ千紗、落ち着いて」

「麻依!これが落ち着いていられるかってのよ!」
フンガー!と鼻息荒く千紗さんがいきり立つ。
ふ、ほんとに千紗さんは熱い人だよな。


「ていうか、月乃さんが元カノなのは本当だったんだね」

「ん…そうみたい……未だに名字すら、そうだっけ?って感じで思い出せないんだけどさ……でも佐々木さんの名前が出たから本当なんだろうな。あぁ、佐々木さんてのが先輩な。……ね、麻依…」

怖かったけど…俺はまず最初に聞くことにした。

「麻依は俺が月乃さんにプロポーズしたっての、どう思う?本当だと思ってる…?」

…はぁ、ドキドキする…俺を信じてくれるかな…

そんな不安を感じてる俺に、ふ、と笑んで言ってくれた。
「私はしてないと思ってるよ。それに『モデルで成功したら迎えに行く』だっけ。諒がそんな打算的な事を言うわけがないもん」

「麻依…」

「諒、言ってたよね、プロポーズも結婚も生涯で私だけだって。…私がいないところであんな風に言ってくれたの、嬉しかったぁ……ありがと、ふふっ」

「麻依……ハァッ…よかった…信じてもらえて…」

「なーに言ってんの!そんなのあたしでもわかるっての!諒くんはどうでもいい女にはどうでもいい扱いしかしないんだから」

うん…それフォローだと思うけどさ…

「千紗さん……俺そんなにひどい男ですか…」

「違う違う、興味がない女には対応が塩メントールなだけよ。まーあたしは、諒くんにはそれが丁度いいと思うけどね」

対応が塩メントール……
初めて聞いたけど、かなり冷たそうですよね…
でも…うん…フォローだと思っておきます…


「ふふっ、諒のことはみんなが信じてるよ」
「ありがと、麻依…愛してる」ぎゅう…


「それでね、あのね…私、ちょっと引っ掛かってるんだよね…」

「ん?麻依、引っ掛かるって何が?」

「うん…月乃さんの言葉を聞いてて、違和感ていうか…もしかしたら、諒から直接聞いてないんじゃないかな?って感じにも聞こえたんだよね」

「直接聞いてない……」

「ちょっと……もう1回聞いてみるわよ!」
と千紗さんがボイレコをもう一度再生した。

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「確かに……そうも聞こえるな」

「『言ったんでしょう?』とか『…て聞いてる』って言い方は、人から聞いた風にも聞こえるよね。もし直接聞いたのなら、この場合もっと断言的な言い方をすると思うんだ」

「これは大発見よ!麻依!」

「てことは…もし月乃さんが直接聞いてなかったのなら、佐々木さんが怪しい…ってことか…」

「ん……月乃さんがモデルになりたいって事も知ってたみたいだし…」

「そうだな……麻依、ありがと!なんか霧が晴れてきた!」

「そうね!明日はその佐々木って人に全部吐かせるわよ!…じゃあそろそろ私は部屋に戻るわね。旭くんもまた明日ね~!」

千紗さんは最後に麻依のお腹を一撫でして、部屋を出ていった。

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