太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~
あ、そうだ…
「月乃さん…いや、福岡さん。俺、本当に考え無しで失礼な態度をとってましたよね。その節は本当にすみませんでした」
今なら…そう素直に思える。
「諒クン……本名で言ってくれてありがとう…私の方こそ、当時は何とか好きになってもらいたくて…本当の恋人同士になりたくて色々と無理を言ってしまって……今回の事も…本当にごめんなさい」
「いえ…」
「佐伯…すまなかった。俺が勝手な事をしたせいで…」
ここはきちんと言っておくべきだよな。
「本当ですよ、佐々木さん。こうなったのもすべて佐々木さんのせいだと言っても過言ではないですよ」
「…あぁ……わかってるよ……しかし佐伯、何て言うのか…強くなったな。…結婚すると変わるのかな」
「いえ、結婚したからではないです。強くなれたのは麻依と出逢ったからですよ。麻依が俺を愛して、理解してくれて、俺にいろんな考え方を教えてくれたから、強くなれたんです。…まだまだ半人前ですけどね」
「そうか……佐伯は本当にいい人と巡りあったな……羨ましいよ」
「そういう相手って案外近くにいるのかもしれませんよ、佐々木さん。…福岡さんも」
「…そうかもしれないわね」
「そうだな、ありがとう」
すると月乃さんが呼んだ記者の男がスッと立ち上がった。
「ナルミ、俺は用ナシみたいだから帰るよ」
「鈴木さん…ごめんなさい、わざわざ来てもらったのに」
「いや、いいよ。…なぁナルミ…もう他人の粗探しして記事にするのはやめよう?」
「…えぇ、バカな事はもうやめるわ」
「じゃあ…俺達もこれで終わりってことで」
「えぇ……今までありがとう…」
「それじゃ」
鈴木という男は千円札を一枚テーブルに置くと、俺達に「嫌な思いさせてすまなかったね、お幸せに」と告げ、このスペースから出ていった。
俺にさえ何となく〝モデルと記者〞以上の関係があったんだろうな…と想像はついて、何とも言えない空気が漂った。