太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~
そして、二人は満足したのかやっとスマホを返してもらえた。
「…ハァ……麻依さんが芸能界にいなくてよかったわ…グラビアの仕事なんて来なくなるわ…いえ、バラエティでも呼ばれまくってアタシ達の枠が麻依さんで埋まるわよ…」
「ホントにスゴいです!麻依さん、綺麗なだけじゃなくてホントにスタイルも抜群ですね!お肌もキレイだし、どの表情も見入っちゃうほど魅力的だし、モデルしないのがもったいないですよ!出産して落ち着いたら一緒にモデルしませんかっ?」
ちょ…
守岡さんが目をキラキラッと輝かせながら麻依にモデルを勧めてきたけど、そんなもの……
「ダメです!モデルはダメです!」
「えー?CMとそう変わらないよ?」
「CMも今回の番組出演も〝麻依は俺のものだ〞と世の男に知らしめるために出ただけで、麻依が単独で出るのは、絶・対・ダメ・です!」
「…プ!…アハハッ、佐伯くんてほんと聞いてた通りだね!ゴメンゴメン、それなら無理かぁ……あ!じゃあ佐伯くんも一緒に本物の夫婦でとか、お子さんと一緒に家族モノでのモデルならいけそう?」
「それなら…まぁ」
「まぁ、って諒?何を言ってるの?っていうか何を見せたの…」
「え?俺の〝とっておき超絶可愛い麻依フォルダ〞の画像だけど?」
「なっ何それ!」
「いやその名の通りだよ。麻依の写真は全部可愛いけど、中でも超絶可愛い写真を集めた俺のお気に入りフォルダだけど?」
「あわわわ……」
はは、これも可愛い、撮っとこ。パシャリ
「もう少し溜まったら写真集作るからな!」
「ひぇぇ…それはやめて…」
「私もその写真集欲しい!佐伯くん、私の分も作って!買うから!」
「守岡さん、悪いけどそれはダメです。俺だけの宝物ですから」
「えー!ひどーい!」
「ちょ…だから作らないでって…」
「フフ…じゃあ私はこれで失礼するわ。麻依さん……本当にごめんなさい。そして、こんな私を許してくれてありがとう。…麻依さんの安産と皆さんの幸せを祈ってるわ」
「月乃さん…ありがとうございます。私も元気な出産に向けて頑張ります」
「それじゃあ…」
と月乃さんが席を立つと、佐々木さんも「僕も…」と続いた。
「靖子、一緒に出るよ。……佐伯、これ僕の今の名刺。よかったら連絡してくれよ」
目の前に差し出されたそれを受け取り、俺も自分の名刺にプライベートの電話番号を書いて渡した。
「支配人か…すごいじゃないか。責任ある仕事で大変だろうけど、体に気を付けて頑張れよ」
「はい、佐々木さんも」
そして2人は各々お金を置いて店を後にした。