太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~
月乃さんと佐々木さんが去り、訪れた静寂の後、俺は……頭を抱えた。
「ちょっと待って…一体何が起こったんだ…?」
「だから結局何も起こらなかったって事だろ?よかったじゃねーか」
「いや、だから何でここに久保がいんだよ……てか何で手嶋さんが俺達の事を知ってて、しかも何で守岡さんもいるんだ…?」
あー…ワケわからねぇ…と頭を抱えてると、麻依にヨシヨシと頭を撫でられた。
「…ん……もっとして…」
「ふふっ、はいはい」
「佐伯……お前ほんと変わったよな…」
久保の呆れたような声が聞こえたが気にしない。
手嶋さんがジャケットの襟元に「お前も来いよ」と囁くと、俺に「そのカラクリ、今にわかるから」と言う。
すると、これまた背の高いホスト風の金髪男がやってきた。
濃いブラウンのサングラスをかけ、紫色のスーツに派手な黒柄シャツ姿で前髪をかきあげる仕草に、これはまたイケメンそうだな…
なんて思っていると、麻依が口を開いた。
「福田くんだよね、その格好で何してるの?」
俺と千紗さんはギョッとして麻依を見たんだけど…
「やだなぁ、麻依にはすぐバレたった~」
と、いかついサングラスを外したその男は、長めの金髪頭だけど紛れもない智さん…だった。
「さっ智さん!?」
「智くん!?」
「やっぱり福田くんだ」
「おぅよ、俺だよ~、智くんだよ~」
金髪の智さんがニカニカ笑いながら「驚いた?」と空いてるソファにボスンと座った。
「びっくりですよ…でも麻依、よくわかったね」
…何だ、この胸のモヤモヤは…
「だって俺と麻依の仲だもんな~」ニカニカ
…だよな、同期だもんな…
俺より長い付き合いだもんな…
こんな変装しててもわかるよな…
ってちょっとだけブルー入ってたら、麻依が俺の手を握って言った。
「そりゃあわかるよ」
…だよな……
「誰だって」
……え?…どーゆーこと?
俺の疑問がそのまま顔に出ていたらしく、麻依がニコ、と笑って話してくれた。
「まだ諒が入社する前だけど、全社の忘年会の余興でこの格好してたの。だからそれを見てた人ならすぐわかるよ、まんまこの格好だから」
「そーなの?」
「うん、上原さんと翔琉くんならわかるはず。あっ、当時の社内報にその記事と写真が載ってたから、家に帰ったら見せてあげるね」
「そっか…」
ホッ…よかった、麻依が特別なんじゃなくて。