太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~
「福田くん、その紫スーツと黒地に深紅のバラ柄のシャツ、まだ持ってたんだね。金髪のウィッグとサングラスも」
「あぁ、捨てるのもったいねーしな。似合うだろ、俺」
「うん、福田くんは不思議とけったいな衣裳が似合うよね。結婚式の時のラブリーソレイユも違和感なくて驚いたくらいだし」
…けったいって、麻依……クッ……
「何だよ諒、笑うなよぉ。…いーもん、そんなこと言う麻依なんてプンだ」
「いいじゃない、似合ってるんだから。それ、福田くんはカッコいいと思うんでしょ?」
「おぅよ、カッケぇだろ?フッ」
「それで何で福田くんがここにいるの?」
「そこはスルーか……まぁいーや。じゃー教えちゃる。俺、昨日のバーにもいたんだぜ?正確には、諒が入った後に入ったんだけどよ」
「え!全然気付かなかった…」
「まー変装してたしな、コレじゃねぇけど」
「そもそも何で福田くんがいるの?」
「いやー実はさ、昨日俺も来てたんだよねー、こっち」
「えっ、じゃあ昨日のテレビ電話はどこで…」
「ホテル。諒達とは別んトコな」
「「へー…」」
「収録の邪魔する気はなかったけどよ、何かおもしれぇことでもあったら合流したくてさ。んで暇そうな翔琉に電話してみたら、ちょうどテレビ局を出てお前らと別れたとこだっつってて」
「あぁ…」俺達がタクシーに乗った頃か。
「したら、ナルナルが諒の元カノだとかプロポーズされたとかって喚いてたって言うからよ。これはマジでヤベぇ奴に捕まったな、って思ってゴンにチクったんだよ。そんで諒にテレビ電話して夜の動向を聞いて、スパイ大作戦決行!ってな。ま、全部ゴンの指示なんだけどよ。あ、ゴンってコイツな」
と、智さんは手嶋さんを親指でさした。
「ちなみにゴンと俺は同じ大学のダチで、麻依と千紗ともタメだぜ」
すると手嶋さんは智さんの隣に座り、俺達に名刺を差し出した。
週刊パスカル、ライター、手嶋 権蔵…
名前のローマ字を見ると、テシマ ゴンゾウ さんというらしい。
「本当に雑誌社の方なんですね」
「あぁ。さっきあいつらに言ったのはホント。週刊パスカルのライターやってるよ」
「ゴンはこう見えて腕の立つ男でさ、法学部卒の上、芸能界の事情通だから、黒い噂のあるあの女の魔の手から諒たちを救えるんじゃねぇかって思ってよ。…あ、そーいや前にV系バンドのボーカルが彼女からDVで訴えられてたの、知ってるか?」
「うん、その彼女って女優さんだったよね。あの時はワイドショーで連日やってたから覚えちゃった。あ…でも結局DVは全部彼女が作った嘘だったんだよね、別れを切り出された腹いせとかって」
「そーそー。その彼女の嘘を暴いたのがこのゴン」
「そうなの!?」
「すごいですね…俺はそのニュース知らなかったけど」
「ま、そんなわけで芸能界のゴタゴタを熟知してるゴンに連絡してみたってワケよ」
「そうでしたか……それで手嶋さんには智さん経由で名前から何から俺達のことが筒抜けだったんですね……ありがとうございます。本当に助かりました、弁護士立てて争うつもりだったので」
「いや、これくらいどうってことねぇよ」
「何かお礼をしたいのですが…」
「じゃあ…今後はサトシと同じ様に俺も仲良くしてくれよ、礼はそれがいいな」
「そんな事でいいんですか?」
「諒、ゴンが仲良くしたいって言ってんだから、いーんだよ」
「そうですか…それでは今後ともよろしくお願いします」
「あぁ、よろしく!諒、麻依さん、千紗さん」
これで一つ目の謎は解けたんだけど…