太陽がくれた初恋～溺愛するから、覚悟して？～

そう、麻依が産休と育休に入るとフロントは陽依さん一人になる。


本来であれば麻依が不在の期間だけでも他のホールのフロントスタッフを配置させるのが筋だろうが、今回はソレイユの施行担当スタッフがフロントのフォローに入る事にしたんだ。

俺も、今まで関わっていたエンバーミングセンター立ち上げプロジェクトから今月末でお役御免となるので、施行担当人員が足りなくなるということもないし。

何より…
以前、朝礼でフロントの欠員について話した時…ソレイユで働くスタッフの皆が、声を揃えて欠員補充に反対したんだよな。

「他のホールの奴を入れるなよ、そんなのやりづらくてしょうがねぇ」
「そうよねー、短期なら尚更ね」
「ここは他のホールと細かいルールが違うから連絡のミスも出やすいしさ」
「それな。これから新たに教え込むとかえって混乱させんじゃね？」
「どうせ来たがる女は、支配人や施行担当目当てなだけよ。そんな人がまともな仕事なんてできっこないわ」
「毎日色目使われてちゃ、こっちもイライラしてやってらんないっての！」

…なんて口々に言うんだけど、最後に渡瀬さんが「だから麻依ちゃん、必ず戻って来いよ！」って言ってくれて、それに皆もウン、ウン、と頷いてたんだ。
ほんとは皆、麻依の居場所を残したいと思ってくれてるんだってわかってさ…
すげぇ嬉しかった。

麻依は涙流しながら「はい、ありがとうございます。…必ず戻りますね」って泣き笑いで答えて、俺もそれ見て堪えきれずに泣いちゃった。

陽依さんは麻依以上におんおん泣いてて、翔琉にヨシヨシされてたっけ。


そうやって皆から慕われる麻依を心から尊敬するし、そんな麻依の夫になれたことを改めて嬉しく思ったよ。


そして、こんなに素敵なスタッフの集うソレイユに来られた俺は、本当に幸せだと思ったんだ。