太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~
フロントにもどると松島さんが出迎えの準備をしていた。

最後は謝罪されたとはいえ、あれだけ強い言い方をされれば傷ついているのではないかと思うが…

「先ほどは大丈夫でしたか?」

「はい、麻依先輩に助けてもらいましたから」

…笑顔だ。案外強い人かもな。

「羽倉さんに何か言われたんですか?」

「はい、麻依先輩に謝られました」

「謝られた?」

「嫌な役回りをさせてしまったと」

「…あぁ、そうですね」

「分かるんですか!?」
松島さんが驚いている。

「多分、ですが。…たまにいるでしょう、クレームを言ってる時に『上を出せ』って言う人。上役の方が自分の意見を理解してくれるとか、上役なら担当者がダメだと言っても例外を認める権限があると思ってるんです。…ですから羽倉さんはあえて上司として名乗り、対応を変わったんでしょう。簡単に言えば、自分が不在にしていたせいで、最初に対応した松島さんに貧乏くじを引かせたと思ったんでしょうね」

松島さんがくりっとした目を更に丸くしてパチパチと瞬きをしている姿は何かの小動物みたいだな、と失礼ながら思ってしまった。

「そうです!麻依先輩、同じことを言ってました」

「…そうですか、同じ話をしてしまい不快でしたね、すみません」

「いえ、全然です!麻依先輩と同じ様に思って下さって嬉しいなって思ったんです。…でも、もし麻依先輩が先に対応してたら、クレームにならなかったんじゃないか、とも思って……まだまだ修行がたりません」

「そうですね…先程の羽倉さんを見るとうまく対処したかも知れません。ですが、もしかしたら松島さんと同じ立場になっていたかも知れません。もし後者なら、上役として私を呼んでいたでしょう。きっと『上司としてあとは頼みました!』って尻拭いをさせにね」
何となく…そう言う羽倉さんを想像できてしまい、フッと笑ってしまった。
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