太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~

恋心、覚醒/side諒

「…ん……」

何となく、いつもと違う…と違和感を感じながら目が覚めた。
すげぇいい匂いに包まれて寝てた気がする…

…そして、ぼんやりとした頭で見えた天井は俺の部屋ではない…

…!?

俺の部屋じゃない!?

…えっと…昨日は飲み会で…
確か…羽倉さんを送って…
羽倉さんの家に上がって…

…どうしたんだっけ……

思い出せない事に、ふぅとため息が出る。


…ん?

俺の手に感じる温かく柔らかい感触に気付いて少し横を向くと、ベッドに頭を乗せて眠る羽倉さん…

そして、掛け布団の下で、羽倉さんの手が俺の手を握っている…


…んんん?

待て、これは一体どういう事だ…
何で家主の羽倉さんを差し置いて俺がベッドで寝てんだよ…


…ダメだ、頭が回らない。

羽倉さんの手をそっと置いて、身体を少し起こす。

頭を上げると、ペラリとおでこから何かが落ちた。
それを拾い、ゆっくり自分の周りを見渡すと、頭の下にはぬるくなった氷枕。
そして俺は、俺のではないジャージを着ている。

…あぁ…俺、熱出して…

なんか思い出してきた。

この様子だと、羽倉さんが看病してくれたのか…
疲れてるって言ってたのに、俺は一体どんだけ迷惑かけてんだよ…

はぁ…
好きな人に迷惑しかかけてないとか…

自己嫌悪。
最悪だ。



…え?…好きな人…

あぁ…そっか、俺、羽倉さんが…麻依さんが好きなんだ…

最近の…この何とも言いようのない感情が〝好き〞だということに気付くと、何かが胸にストンと落ちた。

そっか…
これが好きとか愛しいってことなのか…
…初めて感じる気持ちだな…

って、え?これ初恋?
え?俺、この歳で初恋?

でもそうなんだよな、初めての気持ちだもんな。

…麻依さんに「あなたは俺の初恋です」なんて言ったら笑われるかな。

いや、笑わないな、彼女は。
でも驚くかな?

まだ眠る麻依さんを見て、そんな事を考えていると、無性に触れたくなった。

少し身を屈めて、横向きの彼女の寝顔を覗き込む。

…すっぴん、みたいだな…
会社で見てるより少し幼い感じがする。

やっぱまつ毛、長いよな。
肌も白くて綺麗だし。


そっと手の甲で頬に触れてみる。

すべすべで柔らかい。
はぁ…触れるだけでこんな気持ちになるものなのか…


今度は、俺の手を握ってくれてたその手をそっと持ち上げる。

…思ってたより小さいんだな。
華奢でキレイで…〝白魚のような手〞ってこんな手を言うんだろうな。
爪は短く切り揃えているけど縦長で格好よく見える。

…ね、俺が長い爪が苦手だって知ってた?知ってて短くしてる?
…なんてそんな事あるわけないけど…

そうだったらいいのに…と、手の甲にそうっとキスをした。

そして…無防備なピンク色の唇から目が離せなくなる。

…触れたい…

この唇にキスしたい…
麻依さんとキスしたら…どんなに甘いだろう…
触れるだけのキスじゃ絶対におさまんないよな…
麻依さんのこのふわふわしてそうな唇に触れて…舐めて…それから舌を……

…はぁ、これ以上想像すると俺のアレが反乱を起こしてしまうな…


たぶん今の俺ってすげぇ怪しいヤツだけど、自分の気持ちと欲求に抗えない。

…理性が効かないって、こんな風になるのか…

いやまだ理性は充分効いてるんだけど。

ただ、こんなに理性と欲求が葛藤するのは初めてかも…
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