太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~
朝礼会場となっている広々としたロビーでひよりんと待っていると、徐々に館内のスタッフが集まってくる。
「おはようございます」
「ウッス」
「おっはー」
「おはようさん」
顔が増える度にいろんな挨拶が飛び交い、しばし職種混交の雑談タイム。
ソレイユ専属スタッフの部署は、フロント・施行担当・事務・備品管理・調理・給仕サービス等があるが、みんな仲が良い。
といっても、なあなあで過ごしているわけではなく、仕事となれば厳しく取り組むが、トラブルが起きた時は誰かを非難せずみんなでフォローしあえる、そんな仲間たち。
ソレイユスタッフはワンチームで、お客様それぞれのオンリーワンの施行を作り上げているといっても過言ではない。
やはり仕事はコミュニケーションが大事で、意思の疎通が図れてこそ、仕事はうまく回る。
うまく回ってこそお客様に安心していただける。
そういう思いで、私も常にソレイユで働くスタッフ皆に目を配る様に心がけているが、スタッフの仲が良いのは、ひとえにソレイユをオープン時からまとめている中沢支配人のおかげだ。
しかし、その中沢支配人は今月末で定年退職する。
朝礼の時間になり、スタッフが揃ったところへ中沢支配人が背の高い若い男性を連れてやってきた。
普段から気さくで穏やかなオジサマの支配人はスタッフのみんなに慕われているので、支配人を見つけると誰からともなく「おはようございます!」の声が上がる。
にこにこしながら「おはよう」と軽く手を上げ、集まったスタッフの前に立つ。
「改めて皆さん、おはようございます」
「「「おはようございます!」」」
みんなを見渡し、にこやかな笑顔のまま話し始めた。
「皆さんも知っての通り、私は今月の末日をもって退職します。もっとここで働きたいのはやまやまなんだがね、妻が田舎で畑仕事をしたいと言うもんだから、まだ体が動く内に農業生活を始めることにしたよ」
支配人の奥様はみんなも知っている。
施行がオフの時に、買い物のついでに寄っただけと言って顔を出してはお菓子などを差し入れてくれる、明るく優しいおばさま。
たまに娘さんとお孫さんの話を聞かせてくれたり、「困ったことがあれば私に言ってね、私なら主人にガツンと言えるから」なんて冗談めかして私たちスタッフを気に掛けてくれていた。
だから…
みんな、中沢さんご夫婦に会えなくなる寂しさと、これからの生活を応援したい気持ちとで何とも複雑な表情に見える。
もちろん私もなのだけど。
隣を見ると、ひよりんは涙目。
ダメだ、もらい泣きしそう。
少しだけ気持ちを引き締め支配人の言葉を待つ。
「それでだね、ここからが本当の大事な話だから」
小さく笑いが起こり、ふっと柔らかい空気になったところで、支配人は左後方にいた若い男性を前に呼んだ。
「おはようございます」
「ウッス」
「おっはー」
「おはようさん」
顔が増える度にいろんな挨拶が飛び交い、しばし職種混交の雑談タイム。
ソレイユ専属スタッフの部署は、フロント・施行担当・事務・備品管理・調理・給仕サービス等があるが、みんな仲が良い。
といっても、なあなあで過ごしているわけではなく、仕事となれば厳しく取り組むが、トラブルが起きた時は誰かを非難せずみんなでフォローしあえる、そんな仲間たち。
ソレイユスタッフはワンチームで、お客様それぞれのオンリーワンの施行を作り上げているといっても過言ではない。
やはり仕事はコミュニケーションが大事で、意思の疎通が図れてこそ、仕事はうまく回る。
うまく回ってこそお客様に安心していただける。
そういう思いで、私も常にソレイユで働くスタッフ皆に目を配る様に心がけているが、スタッフの仲が良いのは、ひとえにソレイユをオープン時からまとめている中沢支配人のおかげだ。
しかし、その中沢支配人は今月末で定年退職する。
朝礼の時間になり、スタッフが揃ったところへ中沢支配人が背の高い若い男性を連れてやってきた。
普段から気さくで穏やかなオジサマの支配人はスタッフのみんなに慕われているので、支配人を見つけると誰からともなく「おはようございます!」の声が上がる。
にこにこしながら「おはよう」と軽く手を上げ、集まったスタッフの前に立つ。
「改めて皆さん、おはようございます」
「「「おはようございます!」」」
みんなを見渡し、にこやかな笑顔のまま話し始めた。
「皆さんも知っての通り、私は今月の末日をもって退職します。もっとここで働きたいのはやまやまなんだがね、妻が田舎で畑仕事をしたいと言うもんだから、まだ体が動く内に農業生活を始めることにしたよ」
支配人の奥様はみんなも知っている。
施行がオフの時に、買い物のついでに寄っただけと言って顔を出してはお菓子などを差し入れてくれる、明るく優しいおばさま。
たまに娘さんとお孫さんの話を聞かせてくれたり、「困ったことがあれば私に言ってね、私なら主人にガツンと言えるから」なんて冗談めかして私たちスタッフを気に掛けてくれていた。
だから…
みんな、中沢さんご夫婦に会えなくなる寂しさと、これからの生活を応援したい気持ちとで何とも複雑な表情に見える。
もちろん私もなのだけど。
隣を見ると、ひよりんは涙目。
ダメだ、もらい泣きしそう。
少しだけ気持ちを引き締め支配人の言葉を待つ。
「それでだね、ここからが本当の大事な話だから」
小さく笑いが起こり、ふっと柔らかい空気になったところで、支配人は左後方にいた若い男性を前に呼んだ。