太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~

そうだ!海に行こう!/side麻依

「麻依先輩…熱いです…溶けそうです…」

「ほんと…アイス食べたい…水浴びしたい…」

7月も半ばを過ぎ、じりじりと太陽光線が容赦なく照りつける夏本番!夏真っ盛り!な、とある日。
私とひよりんはソレイユの屋外と駐車場のゴミ拾いをしていた。

「ひよりん…もうホールに戻ろう、熱中症になっちゃうね…」

「そうですね…冷えた麦茶でも飲みましょう…」

2人で麦わら帽子で扇ぎながらホールへと急いだ。




「っはー、生き返る!」
「ふはぁ…ホントに生き返りますね!」


キンキンに冷えた麦茶で身体が涼を感じ始めた頃、ひよりんがポツリと呟いた。

「高見さん、やっぱりモテるんだぁ…」

「ん?…あぁ、この前の一件?」

「はい…」

「確かに見た目はいいもんね。…あっ、中身もいい人だよね」
付け足し感がちょっと失礼か。

「…あの時…彼女のフリだったけど、すごく嬉しかったんですよね」
エヘヘと笑うひよりんに私がキュンキュンしてしまう。

そう、ひよりんは高見くんに好意を持っている。

今まではソレイユスタッフ内でもお客絡みでも色恋事件など起こった事はなく、2人が少しずつ近づけたらいいなぁ…なんて私も思っていたのだけど、そんな時にあの一件があった。

ひよりんは焦ってるのかもしれないね…


よぉし、ここは2人のお姉さん役の私が頑張っちゃおうかな!

「ね、ひよりん。海、行かない?」

「海ですか?麻依先輩と2人で?」

「そんなワケないじゃーん!高見くん誘ってさ」

「えぇっ!?」

「イヤ?」

「まさか!すごい嬉しいんですけど…高見さんが行ってくれるかどうか…」

「じゃ、誘ってみるね!日は…ソレイユの休業日の23日でも大丈夫そう?」

「はい、私は大丈夫です」

「了解!じゃあちょっと誘ってくるね!」


お節介で世話焼きな私はいそいそと高見くんの元へと赴く。

確かホールで明日の準備をしていたはず…あ、いた!ちょうど休憩してた。

「高見くん、ちょっといい?」

「はい、何スか?」

「あのさ、23日の休業日にひよりんと海に行くんだけど、一緒に行かない?」

「海っスか?いーっスね!あ、でも俺が行っていいんスか?女同士で行くんじゃないんスか?」

「いやぁ、2人で行ったらさー、ひよりん可愛いから絶対ナンパされるじゃない?だから男の子がいたら安心だと思って」

「…そうっスね、確かにナンパされそう…つかされまくりでしょ、この2人なら。いやマジで狙われまくりでヤバいですって」

「いや私は置いといて」

「えーと、他に誘ってる人います?」

「まだ決めてないけど…」

実は、高見くんが来てくれるなら、私は当日キャンセルして2人で行かせようと秘かに企んでいたため、他に呼ぶなど考えていなかったのだ。

すると高見くんがやおら立ち上がり「ちょっと待ってて下さい」と、ホールの外に出ていった。

そのままホール内で待っていると、戻ってきた高見くんが「支配人も行けるって」と指でOKを作って満面の笑みで言う。

「え、支配人!?」

「はい、どうせなら多い方が楽しいっスから」

「まぁ…そうだね……でも支配人、誘われて困ってなかった?」

「はい、すんなりOKもらったっスよ」

「それならいいけど…」

「それじゃ俺、海の家の予約とかしますよ!いいとこ知ってるんで、後で教えますね!」

「あっ、ありがとう…」

私主体で〝2人っきり大作戦〞を進める思惑だったのに、何だか少し風向きが変わってしまったのだった…

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