太陽がくれた初恋～溺愛するから、覚悟して？～
俺の過去／side諒
あ、そうだ…
気になってた事…今聞いてみようか。
「あの…俺、社葬の日の…俺が倒れた時、夜中にうわ言で変なこと言いませんでした？」
「へっ変なことって!?」
「実は…朝、目が覚めた時に、羽倉さんが俺の手を握ってくれてたんですよね」
「！！」
すごいびっくりした顔で見るなぁ…
可愛いからやめて…見ないで…
「で、俺、何て言ってました？」
「…えっと…言っていいの？」
「はい、言ってください」
「えっとね…『行かないで、僕を捨てないで』ってうなされてて……手を伸ばしてきたから…」
「うん、それで？」
「言っても…怒りません？」
何で遠慮がちの上目遣い？
可愛いんだけど。
「？えぇ、怒りませんが？」
「えっとね……あの…何だか小さい子に縋られてるみたいに思えちゃって…その…つい…『どこにも行かないよ、私がそばにいるよ』『だから安心しておやすみしてね』って言って…それで…頭を撫でて…それで…手を握っちゃって…途中で寝ちゃったけど……勝手なことしてごめんなさい…」
麻依さん、照れてる？
俯いてる顔がすげぇ赤い。
ヤバ、すげぇ抱きしめたいんだけど。
でも運転中…
いや、運転中でなくても抱きしめるなんてできねぇけど。
「いえ、ありがとうございます。そっか、だからか…」
「え？」
おっ、顔をあげてくれた。
「夢の中の事だと思ってたけど、言葉がすごいリアルにも感じてて。夢うつつの中で…その聞こえてきた言葉にすごく安心したんです。…本当に…心の中の真っ黒いのがパアッと放たれた感じですごい安らいで…って、変なヤツだと思われそうだけど」
麻依さんを見ると自然と笑みがこぼれる。
すると麻依さんも俺を見てくれた。
「安心できたなら…それなら…良かったです…」
まだ赤い顔をしてもじもじする麻依さんがたまんないんですけど。
車停めて抱きしめていいですか？
もちろんそんな事はできないけども。
「…俺の過去の話、してもいいですか？つまんない話ですけど」
麻依さんが丸い目で俺を見る。
「私が聞いてもいいのなら…」
「えぇ、聞いてほしいです」
そして、俺は生い立ちの話を始めた。
５歳の時に実の母親に施設に預けられて…捨てられた事。
その時には既に実の父親はいなかった事。
それから１年後の６歳の時に、今の親に拾われた事。
その両親は俺に良くしてくれた事。
でも父親は俺が12歳の時に死んだ事。
母親は今、地元で入院してて、母親の兄が面倒をみてくれている事。
それと…
たまに苦しい時や辛い時に捨てられた時の事が思い出されるらしい事も。
でも、親に捨てられたせいで人と深く関わるのがこわいという、人格形成に歪みが起きていることは…言わないでおいた。
赤信号で停まった僅かな時間に麻依さんに顔を向けた。
相づちを打ちながら話を聞いてくれていたが、それ以上の言葉はなかったから、反応が気になったんだ。
すると、俺をじっと見つめていたらしい麻依さんの綺麗な目に、薄く水の膜が張っているのがわかった。
…その俺の表情で、俺が麻依さんの涙に気づいたとバレたらしく「ごめんなさい」と顔を背けられた。
ああぁ、麻依さんは悪くない、悪いのはこんな話をした俺なんだから！
そんな事言ってると抱きしめますよ！
もちろんそんな事はできないけども！
でも…これだけさせて。
麻依さんの頭に、手のひらをのせて、優しくポンポンして言う。
「ごめん、羽倉さんにそんな顔をさせたかったんじゃないんです。あなたは何も悪くない。悪いのはこんな話をした俺なんだから」
チラと麻依さんを見ると、ハンカチで目元を押さえていた。
「支配人は悪くないです…。私に聞かせてくれて、ありがとうございます」
そう言うと、まだ濡れた瞳で優しい笑みを浮かべる。
…だから…
ほんとに抱きしめますよ？
なんならキスもしますよ？
…もちろんそんな事はしたくてもできないけども！！
俺は「この話はまだ羽倉さんと俺だけの秘密でお願いしますね」と人差し指を自分の唇に当てて明るく言い、湿った空気を変えた。
麻依さんも「そうだね、今日は楽しもう！」と笑ってくれた。
それからは海の家に着くまで、他の人にはしたことのないプライベートな話もした。
一人でいるのが好きで、休みの日はドライブに行ったり絵を描いたりしている事とか。
こんなこと誰かに話そうと思ったことすらないけど、麻依さんには聞いてほしかった。
俺を知ってほしくて。
麻依さんも休日の過ごし方とかお菓子屋さん巡りの事とか、俺にとっては特ダネ情報とも言える話をいろいろ教えてくれた。
車内では麻依さんとの会話が楽しく穏やかに過ごせたが、ちょいちょい可愛い事を言う麻依さんに何度抱きしめたい！キスしたい！と思ったことか！！
俺の顔の筋肉と心臓、とりあえず今のところはグッジョブだ。
この後もよろしく頼む。
気になってた事…今聞いてみようか。
「あの…俺、社葬の日の…俺が倒れた時、夜中にうわ言で変なこと言いませんでした？」
「へっ変なことって!?」
「実は…朝、目が覚めた時に、羽倉さんが俺の手を握ってくれてたんですよね」
「！！」
すごいびっくりした顔で見るなぁ…
可愛いからやめて…見ないで…
「で、俺、何て言ってました？」
「…えっと…言っていいの？」
「はい、言ってください」
「えっとね…『行かないで、僕を捨てないで』ってうなされてて……手を伸ばしてきたから…」
「うん、それで？」
「言っても…怒りません？」
何で遠慮がちの上目遣い？
可愛いんだけど。
「？えぇ、怒りませんが？」
「えっとね……あの…何だか小さい子に縋られてるみたいに思えちゃって…その…つい…『どこにも行かないよ、私がそばにいるよ』『だから安心しておやすみしてね』って言って…それで…頭を撫でて…それで…手を握っちゃって…途中で寝ちゃったけど……勝手なことしてごめんなさい…」
麻依さん、照れてる？
俯いてる顔がすげぇ赤い。
ヤバ、すげぇ抱きしめたいんだけど。
でも運転中…
いや、運転中でなくても抱きしめるなんてできねぇけど。
「いえ、ありがとうございます。そっか、だからか…」
「え？」
おっ、顔をあげてくれた。
「夢の中の事だと思ってたけど、言葉がすごいリアルにも感じてて。夢うつつの中で…その聞こえてきた言葉にすごく安心したんです。…本当に…心の中の真っ黒いのがパアッと放たれた感じですごい安らいで…って、変なヤツだと思われそうだけど」
麻依さんを見ると自然と笑みがこぼれる。
すると麻依さんも俺を見てくれた。
「安心できたなら…それなら…良かったです…」
まだ赤い顔をしてもじもじする麻依さんがたまんないんですけど。
車停めて抱きしめていいですか？
もちろんそんな事はできないけども。
「…俺の過去の話、してもいいですか？つまんない話ですけど」
麻依さんが丸い目で俺を見る。
「私が聞いてもいいのなら…」
「えぇ、聞いてほしいです」
そして、俺は生い立ちの話を始めた。
５歳の時に実の母親に施設に預けられて…捨てられた事。
その時には既に実の父親はいなかった事。
それから１年後の６歳の時に、今の親に拾われた事。
その両親は俺に良くしてくれた事。
でも父親は俺が12歳の時に死んだ事。
母親は今、地元で入院してて、母親の兄が面倒をみてくれている事。
それと…
たまに苦しい時や辛い時に捨てられた時の事が思い出されるらしい事も。
でも、親に捨てられたせいで人と深く関わるのがこわいという、人格形成に歪みが起きていることは…言わないでおいた。
赤信号で停まった僅かな時間に麻依さんに顔を向けた。
相づちを打ちながら話を聞いてくれていたが、それ以上の言葉はなかったから、反応が気になったんだ。
すると、俺をじっと見つめていたらしい麻依さんの綺麗な目に、薄く水の膜が張っているのがわかった。
…その俺の表情で、俺が麻依さんの涙に気づいたとバレたらしく「ごめんなさい」と顔を背けられた。
ああぁ、麻依さんは悪くない、悪いのはこんな話をした俺なんだから！
そんな事言ってると抱きしめますよ！
もちろんそんな事はできないけども！
でも…これだけさせて。
麻依さんの頭に、手のひらをのせて、優しくポンポンして言う。
「ごめん、羽倉さんにそんな顔をさせたかったんじゃないんです。あなたは何も悪くない。悪いのはこんな話をした俺なんだから」
チラと麻依さんを見ると、ハンカチで目元を押さえていた。
「支配人は悪くないです…。私に聞かせてくれて、ありがとうございます」
そう言うと、まだ濡れた瞳で優しい笑みを浮かべる。
…だから…
ほんとに抱きしめますよ？
なんならキスもしますよ？
…もちろんそんな事はしたくてもできないけども！！
俺は「この話はまだ羽倉さんと俺だけの秘密でお願いしますね」と人差し指を自分の唇に当てて明るく言い、湿った空気を変えた。
麻依さんも「そうだね、今日は楽しもう！」と笑ってくれた。
それからは海の家に着くまで、他の人にはしたことのないプライベートな話もした。
一人でいるのが好きで、休みの日はドライブに行ったり絵を描いたりしている事とか。
こんなこと誰かに話そうと思ったことすらないけど、麻依さんには聞いてほしかった。
俺を知ってほしくて。
麻依さんも休日の過ごし方とかお菓子屋さん巡りの事とか、俺にとっては特ダネ情報とも言える話をいろいろ教えてくれた。
車内では麻依さんとの会話が楽しく穏やかに過ごせたが、ちょいちょい可愛い事を言う麻依さんに何度抱きしめたい！キスしたい！と思ったことか！！
俺の顔の筋肉と心臓、とりあえず今のところはグッジョブだ。
この後もよろしく頼む。
