太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~
ズッ…ズズゥ…

福田くんがフロント奥の事務室の隅っこでひっそりとコーヒー啜ってる。

「もうちょっと行儀よく飲めないの?」

「独りモンが寂しく飲んでるだけですぅ。相手がいるラブラブな人はほっといて。プンだ」

「福田さん、大の大人の男の人がかわいくイジけてもかわいくないですよぉ?…そんなことより。麻依先輩、その人どんな人なんでしょうねぇ」

「そうだね…きっと可愛い人なんだろうね…」

「でもっ、諒さんにとっては麻依先輩が一番!てゆうか麻依先輩オンリーですからねッ」

「ズズゥ……なになに?なんか面白そうな話だね…この寂しい独りモンにも聞かせておくれよ…ズズゥ…」

…あんた何者よ…

よくわからないキャラの福田くんに、諒くんから効いた話をかいつまんで説明すると…

「何それ何それ、え?佐伯の浮気案件?」

なぜに目が輝く。

「諒さんは浮気なんてしませんッ!さっきもラブラブでしたもん!フロントでちゅーしそうでしたもん!私がいなかったらちゅーしてましたもん!」

ギクッ


「ウッ…グサリ……玉砕したてのヤツにほんと容赦ねぇよな…」

「まぁ…普段通りに仕事するしかないよね、諒くんもそう言ってたし」

「り、諒くんて……うわぁぁぁ…羽倉の口から諒くんて…」

「ラブラブですもん。ウフッ」
もちろん手はハートマーク。

「あぁぁ…俺…灰になりそ……ズッ…ズズゥ…あぁコーヒーの苦さが胸の傷に染みるぜ…ズズゥ…」

「さ、福田くんはおいといてお出迎えの準備しよっか」

「ハイッ」
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