太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~
デート当日――

もうお昼かぁ。
…あと半日でデートだ!ふふっ
自然と笑顔になってしまう。

ひよりんは用事があって外出中。
私がフロントで一人お昼を食べていたら、浮かない顔をした諒くんがやってきた。


「麻依…ごめん…今日のデート…延期していいかな…」

「えっ…どうしたの?」

ドク…っ
嫌な動悸がしたと思うと、胸をスウと冷たい風が撫でた。


「…実は…ユリナが明日帰るらしくて、その前に一度会いたいって言ってきたんだ。今後の事を考えたら、俺もしっかり断っておきたくて…」

あ、そうか。喪家様はユリナさん家の親戚で、ユリナさんのお宅は県外なんだっけ。だからまだこっちに残ってたんだ


「せっかくのご褒美デートだから…そっちに行きたくはないんだけどさ…」

「でも、あれ?諒くん…連絡…取り合ってるの?」

「いや、俺にはユリナのお母さんから連絡が来たんだ、仕事用の社用携帯にね。名刺は渡してあったから。そもそも俺はユリナの連絡先は知らないし、俺のプライベート番号は向こうの誰にも言ってないから」

そっか…よかった。…ホッ

「…それなら…仕方ないよね。デートはまたにしよっか、残念だけど」

本当はすごくすごく残念で…
デートの機会を…いや、今日の諒くんをユリナさんに取られたのが…淋しくて悔しい…

私、ちゃんと笑顔で言えてたかな…
そう心配したその刹那。

「麻依…ごめん…そんな顔させて…」

諒くんに抱き締められた。

あぁ、バレバレだったのか…

「ううん、大丈夫。…ごめんね、ありがと…」

顔を上げて、さっきより笑顔で言えた。

…少しは落ち着けたの…かな…
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