太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~
20時にラピス最上階のレストラン…か。

今は18時前…
ソレイユからだとラピスは家と反対方向なんだよね。

だけど…一度家に帰って落ち着きたい。


って思って帰ってきたものの。
うーん…家にいても落ち着かない。
しかもこういう日に限って車検で車がないとか…ホント運が悪い。


全国的に名の知られた高級ホテル〝ラピスニューグランドホテル〞は、私の家からは少し遠いし、行ったこともない。
なので、ホテルへのアクセスを調べて、早めに家を出た。


思いの外、路線バスの乗り換えもスムーズにいき、19:20頃にはホテルに着いちゃった。

まぁ早く着く分にはいっか。
ホテルの一階ロビーで待たせてもらおう、と、ソファに腰掛けた。

あ…嘘かまことか定かではないけど一応は仕事の話ってことだし、ひよりんには連絡しておこう。

今は翔琉くんとデート中だよね…
電話はお邪魔しちゃうからメールにしとこ。

『20時から横田副支社長と仕事の話で食事することになったの。一応、終わったらメール入れるね』

よし、送信っと。

♪~~
わ、電話!? …あれ、ひよりんからだ。

「はーい、もしも『どっ、どこですか!?』

スマホとバッグを持って、ロビーの角にそそくさと移動する。

「ラピスニューグランドホテルの最上階のレストランだって。なんかね、ボーナス査定に必要らしくて、ソレイユのスタッフの働きぶりを知りたいって」

『…わかりました、エロ狐に変なことされないように充分気をつけてくださいね!』

「ありがとう、うん、気をつけるよ」
エロ狐…あぁ、言い得て妙だわ。

『諒さんはこのこと知ってるんですよね?』

「ううん。今日はユリナさんと会うって言ってたから…多分もう会ってると思うし、言ってないんだ」

『そうなんですね…わかりました。とにかく!気をつけてくださいねッ!』


通話を終えると着信音をオフにしてまたソファに戻り、テーブルに置いてあるドリンクメニューの中からデミタスコーヒーをオーダーした。

一流ホテルのロビーで頼むコーヒーってこんなに高いのね…
下手したらお安いランチと変わらないもん。
一般庶民の私の金銭感覚では、そんなことしか浮かんでこない。


…程なくして運ばれてきたデミタス。

一緒に置かれた、小さなかわいらしい陶器のお皿に乗る金平糖。
ブルーの色合いが芸術的でとても綺麗。
ホテルの名前がラピスだから、ラピスラズリのブルーなのかな?


ん、美味しい。

デミタスの苦さに金平糖の甘さとかわいさが見事にマリアージュしてる。

そして、綺麗なブルーに冷静さを取り戻した。

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