太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~
飲み終えて一息ついたところで、俺は聞きたかったことを切り出した。

「ねぇ麻依…どうして横田さんと会うこと、俺に教えてくれなかったの?」


麻依が俺を見てから…俯いた。

何で?
…俺に言いたくない…?

まさか…
「俺より…横田さんの方が良くなった…?」

「それは絶対ない!」

と、それには麻依が強く反論してくれた。
とりあえずよかった…
ほっと胸を撫で下ろす。

「じゃあどうして?俺に…言いたくなかったの?」


麻依が俯いたまま苦悶の表情を見せた。

「…ん?どうした?」

「あ…えっと…」

「うん」


麻依が…俺の袖をキュと握る。

「……こわかった…」


「…え?こわい?…俺が?」

ううん、と俯いたまま頭を横に振る。

「諒くんが…ユリナさんのとこに行っちゃったら、って思ったら…」

「…どういうこと?」
麻依の頭を撫でて、優しく問う。

「諒くんはユリナさんには気がないって言ってくれてたけど…私…自分に自信がなくて…」

泣きそうな麻依を抱きしめたくなるが、今は麻依に気持ちを全て吐き出させたい。

「うん、それで?」


「もし…電話した時に…楽しそうな声とか聞こえたら…悲しくて…悔しくて…おかしくなりそうで…」

「うん」


「メールも…もし返事がなかったら2人で楽しんでるのかな、とか…もうユリナさんを選んでしまってたら…とか…考えちゃって…」


「そっか…悪い方に考えちゃったんだね。…けど、自信がないって、どうして?俺はこんなに麻依しか見えていないのに」

ふ、と笑って、麻依の顔を手のひらで撫でながら覗き込む。



「…可愛くて…ユリナさんが」

「は?可愛い?どこが?」


「私にはないものをたくさん持ってて…若さも、素直に甘える可愛さも…それで…」


そうか!過去のトラウマの…

それに気付いた時、他には何も考えられず、きつく麻依を抱きしめた。

「麻依…ごめん!俺…何も気付いてやれなくて…」

やベぇ、俺が泣きそうだ。
自分が情けねぇよ…


「ううん、諒くんは何も悪くない…ただ私が…自信持てなくて…」

麻依が俺の腕の中で小さく震える…

「こわかった…諒くんが離れて行っちゃうのが…」

「麻依はどうして自信が持てなかったの…?」

「…その…可愛い女性らしさは…私にはないものだから…どう足掻いても…勝てないし…」

「ん…あとは?」

「あと…ユリナさんに私を彼女だって秘密にしてたのも、彼女がいることとかバレたくなかったのかな、とか……あと…」

「うん、あと?」


「私達、その…キス以上のこともしてないし…やっぱり若い子の方がいいのかな、って…」

「うん、…あとは?」

「…ん、たぶんもうないと思う…」


不安は全部吐き出せたみたいだな…
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